第20話 堕ちないぞ私は!
「ででででで、なななんでそんな事分かるの」
止まらない震えを抑えながらも、私は鹿野ちゃんに聞く。
「分かるよ~、私といる時も南くんは綺海ちゃんの話ばっかするし、目で追ってるもん」
「だだだだからって私の事を好きとは……か限らなくない?」
「決定的なのは、私と付き合う前まで綺海ちゃんことを好きだったことだな。あとそのおっぱい」
「えぇぇ? そう……なの?」
「うん、私に話してたし」
南が私のこと好きだった……って事は両想いだって事だよね⁉ なんで告白しなかったんだ私!
過去に戻れたら自分の事ビンタしてるわ! 早く告れ!って。
しかも南は巨乳好きか……それは一安心。
「でも、鹿野ちゃんと私が付き合ったところで、私は鹿野ちゃんのこと好きじゃないし、南は私と付き合ってくれるのかな」
肝心なのはそこだ。私と鹿野ちゃんが付き合ったところで南は私と付き合ってくれるのだろうか。
三角関係とかは一旦置いておいて問題はそこ。
「南くんも満更じゃないから余裕でOK出すと思うよ? あと私たちが付き合ったって言ったら頭パンクして数分黙り込むだろうし」
「すごい、鮮明に想像できる」
「だから~、私と付き合って南くんとも付き合お~よ~」
私の目を見て小首を傾げる鹿野ちゃん。
「私、鹿野ちゃんの事好きじゃないし、付き合うのも南との関係の為だけど、いいの?」
あくまで付き合うのは、南と恋人になる為。
鹿野ちゃんが私を好きでも、私は何もしてあげれない。
「大丈夫だよ~、私が綺海ちゃんの事を好きなのは気にしなくて」
「……気にはするでしょ」
「私達が付き合ったとしても、エッチとかしないし、したくないでしょ?」
「エっ――――鹿野ちゃんはシたいの……? その、私と……」
「好きな人とはシたいに決まってるじゃん~。実際南くんともすごくしたいけど、南くん性欲なさそうだから」
もしスることになったら本当の百合だ。ていうか鹿野ちゃん南とエッチしかったんだ。
南、エロゲするだけでそうゆう雰囲気にはならないって言ってたけど。
「だけど綺海ちゃんは性欲強そうだし、そのおっぱいをイジめたくなる」
「わ、私より先に南とシた方がいいんじゃない⁉」
絶対にその方がいい……でも鹿野ちゃんより先に私が南とシたい……これまでの分いっぱい愛されたい……。
私、誘われたら断らないんだけどな……でも南誘ってこないし、告白もしてこなかったし。
「ならいっそのこと3Pとか?」
「3っ……⁉」
「あ~、でも最初くらいは2人でシたいよね~、私もそう思う~」
鹿野ちゃん見た目に反して凄いこと言うな………エロゲーのせいなのだろうか。
それに性欲も人の倍くらいありそう。
しかも私とシたいって………マジ? 誘われたらどうすればいいの私……。
「とりあえず、綺海ちゃんは私と付き合うって事でOK?」
再確認してくる。
「色々迷惑かけるかもしれないけど、南と付き合えるんだったら……いいよ?」
「そこは心配しなくてもいいよ。私が綺海ちゃんの事好きにさせて見せるから」
「はぇ⁉」
「私、綺海ちゃんのこと好きって言ったよね? 結構本気で好きだから、付き合うんだったら攻めるけど大丈夫そ?」
小柄ながらも、獲物を狙うような目でこちらを見てくる。
「ひゃ、ひゃい」
その表情に、情けない返事をする私。
不覚ながらも一瞬ドキッとしてしまった……ギャップが凄い……
可愛い顔であんなこと言ってくるとか………流石に女子が恋愛対象じゃなくても心に来るものがある。
だとしても百合展開には持っていかないぞ!
鹿野ちゃんと付き合うのはこれはあくまで南と付き合うため。鹿野ちゃんがいくら可愛いからって女には堕ちないぞ私は!
その頃、南はというと………
「2人戻ってこないな………トイレ混んでるのかな」
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