第16話 付き合ってみたいなぁ~
「お待たせぇ~、いっぱい写真撮って来たよぉ~!」
スキップして鹿野が戻ってきたのは数分後の事であった。
相変わらずテンションが高いな。クラゲの写真見てニヤニヤとしているし。
こう見ると、やっぱり鹿野は可愛い。
友達みたいな感覚と言ったが、可愛いのは変わりないし、俺に笑顔で水槽と自撮り写真を見せてくる姿は立派な彼女であった。
「次、どこ行く~?」
持っていた館内マップを見る鹿野。
「こっから近いのはペンギンとかアザラシのゾーンだな」
「ぺ、ペンギン」
ペンギンと言う単語に、小声ながらも、綺海は声のトーンが上がる。
「お、綺海のお目当てのゾーンがついに来たな」
「綺海ちゃん、ペンギン好きなの?」
「ま、まぁね」
「好きなモノまでカワイ~な~綺海ちゃんは~」
前、綺海と一緒に水族館行った時、ペンギンに目をキラキラさせて飛びついてたからな。
今の鹿野と変わらないくらいの興奮度であった。
写真もペンギンだけで100枚は撮っていたし、売店でぬいぐるみやキーホルダーも買っていた。
「行くんだったら早く行くよ!」
先陣を切って、綺海はエスカレーターに乗り込む。
どんだけペンギン見たいんだよ。さっきの鹿野と行動が逆になってしまった。
せっかく来たんだし、楽しませてあげるとするか。
「綺海ちゃんホント可愛いよねぇ~」
俺の顔色を伺うように鹿野は言う。
「まぁ、可愛いい方に入るんじゃないか? 実際モテてるし」
「行動も好きなものも女子って感じでさぁー、ちょっとツンデレな所もいいよねぇ~」
「あいつのツンデレはめんどくさい所あるからなーでも」
「そこが可愛いんだよ~、それにおっぱいも大きいし」
「そこ気にするか?」
「女の子ならやっぱり大きいのは憧れるよ~、私こんなんだし」
と、自分の胸元を触る。
「別に気にしないけどな」
「南くんは胸で判断しないから好き~」
「胸で判断する奴とか居るのか逆に」
「世の中にはいっぱいいるよ~! エロゲでもそうゆう所あるし」
「それも作品によりけりだけどな」
大きい方が魅力的な事には変わりない。だって男子からしたら谷間がある胸なんて夢だからな。
しかし、巨乳だけではなく貧乳にも魅力はある。エロゲで腐るほど見てきたから断言できる。
初めて裸を見せる時に、胸が小さい事を恥じらってる表情とかは特にたまらない。
あれこそ男の本能をくすぐる。
「あーあぁ~、私も綺海ちゃんと付き合ってみたいなぁ~」
「何、百合って事か?」
「よくエロゲであるじゃん、百合カップルとか。ラノベとかアニメでも最近人気だし」
「現実ではあんまり見ないよな」
「だからこそリアルにロマンがあるんだよ!」
フンスと鼻を鳴らす鹿野。
百合か……確かにロマンがある。美少女×美少女の百合とか、男子からしたら最強だ。
可愛いに可愛いを足したら可愛いになる。いい事尽くしだ。
待てよ? 今の発言からしたら――――
「鹿野、綺海の事好きなのか?」
付き合いたいって事はそうゆう事だよな。でも、女子はよく冗談でそうゆう事言うし、友達として好きみないな解釈も出来る。
「好きだよ? もちろん」
「友達として? それとも恋愛対象として?」
「友達としてだよ~。だって私の恋人は南くんだし~」
と、俺の腕に抱きついてくる。
「でも、綺海ちゃんと私が付き合ったらなんか楽しそう」
顎に手を考える鹿野に、
「って事は三角関係ってことか?」
「なんかエロゲみたいだね」
「幼馴染と自分の彼女が付き合うとかまさにそれだな」
「私達だけでエロゲー完成しちゃうじゃん!」
「ま、んなこと起きるわけないけどな」
鹿野の頭を撫でると、既にペンギンのいる水槽の前で体を揺らしている綺海の元へ向かう俺達。
「冗談じゃないかもしれないけどね」
「ん? なんか言ったか?」
「いや、なんでもないよ?」
何かつぶやいたように聞こえたけど、俺の気のせいみたいだな。
綺海と鹿野が付き合うか………本当にそうなったらエロゲー展開だし修羅場だな。
「南くんに綺海ちゃんとの話したけど、全然引いてなかった……ていうことはあんま百合に抵抗ないって事だよね? むしろ話に乗っかってくれたしイケるんじゃないの⁉ 私と綺海ちゃんが付き合うシナリオ! 好きな人2人付き合えるなんて夢のまた夢だと思ってたけど、実現できちゃう……かも?」
ネタバレします。百合です。
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