第61話
「お前たち、なんで今日も普通に俺たちのランチに参加しようとしているんだ?」
昼休みにテラスに行くと既にゾルティーたちが待っていた。
邪魔なんだよ!
「いいじゃない。みんなで食べた方が美味しいよ?」
エリーが優しすぎる。
コイツらを甘やかしたら調子に乗るぞ。
「エリー朝からたくさん作っていたものね」
レイ知っていたなら止めろよ。
「そうだよ。せっかくエリーが作ったのに残ったら勿体ないと思わない?」
アランお前まで・・・
「兄上、心が狭すぎますよ?」
お前が言うな!
「「申し訳ございません。私たちはゾルティー殿下についてきただけなんです」」
悪かったなんて思ってない顔だが?
そしてガルザーク!
お前もう席に着いているよな?
食べる気満々じゃないか!
「もう、ルフラン眉間に皺を寄せないの!せっかくの男前が台無しよ?」
エリーがまた眉間をグリグリしてくれる。
それに、男前って言ってくれた。
俺のことをそう思ってくれているってことだよな?
ちょっと気分が良くなった。
「お前たち、優しいエリーに感謝しろよ」
エリー、どれだけ料理のレパートリーがあるんだ?
昨日とはまた違う料理だが、今日の料理も美味しい。
是非オレの嫁に・・・
隣りのテーブルの3人、今日も一心不乱に食べてるな。
ちゃんと味わっているのか?
3人が同時に席を立った。
おかわりだと?
本当にコイツら図々しいな!
「明日は学園が休みだけど、休み明けからは貴方たちの分も作ってくるわね」
エリーーーーやめてくれ!
そして3人とも顔を赤くして頷くな!
アラン、レイ、ゾルティー俺を見てニヤニヤするのはやめろ!
「はい!ルフランもっと食べてね」
落ち着け、エリーは俺だけにこうやって食べさせてくれるんだ。
ああ幸せだ~
「明日はランに会えるのが楽しみなんです。あんなに可愛い子他には知りません。連れて帰りたいぐらいです」
「きっとランもゾルティー殿下に会えるのを楽しみにしているわ。でも、連れて帰るのはダメよ」
ゾルティー、エリーを困らせるな。
あんなに大きくなるまで育てたんだもんな。
ゾルティーに譲るなんて出来るわけないよな。
「「私たちもランちゃんに会えるのが楽しみです」」
本当はお前たちが狙っているのはバーベキューなるものだろ?
分かっているんだぞ!
「貴方たちにもランを紹介するわね」
はぁ、コイツらの参加は決定なんだな。
ランの首のサイズを測らないとな。
エリーと約束したんだもんな。
明日はランも俺に触らせてくれるだろうか?
次の首輪のデザインはもう決めている。
俺とエリーの色を合わせているものだ。
ウォルシュ家に到着するとメイドに庭園に案内された。
今日はレイまでズボンを履いてるのは何でなんだ?
また遠出するのか?
「いらっしゃい。ルフラン、ゾルティー殿下」
「もう、ほかの3人は来ているわよ」
アイツらーーー!
「エリー嬢、そのテーブルのような物は何ですか?」
それは俺も知りたい。
それに皿に山盛りで生肉が乗っているのだが?
「ああこれはね。ん~簡単に言えば、網の下に炭を置いて火をつけると、網に乗せたお肉や野菜が美味しく焼けるの」
分かったような分からないような・・・
「まあ、見ていて」
「エリーこっちは用意できたわよ」
「じゃ次々焼いていきましょう」
レイとエリーが皿の肉を網に乗せていく、肉の焼けるいい匂いがしてくる。
「さあ、いいわよ!みんな自分のお皿を持ってきて」
俺たちはエリーとレイに言われるがまま皿を手に並んだ。
「色々な種類のソースを用意しているから、各自好みに合わせて付けて食べてみて」
じゅうじゅう音がする肉なんて食べたことないぞ。
まずは俺から食べた。
!!!こんな美味い肉料理があるのか?
俺達のために高級な肉をあんなに用意したのか?
柔らかいし、肉汁とソースが旨味を引き立てている。
俺が食べたあとは、ゾルティー、その他が続いて食べた。
「「「美味しい!(美味い!)」」」
「でしょう?次々焼いていくからね」
「自分で焼いて食べてもいいのよ」
レイ、お前面倒くさくなっただけだろ?
「「私は自分で焼きます」」
よく言った、お前たちがエリーに焼いてもらうなんて贅沢なんだよ!
「俺も自分で焼く」
ガルザーク・・・お前早く食べたいからだろ?
「バーベキューって美味しいですね。こんな料理を知っているレイチェル嬢とエリー嬢を尊敬します」
「ありがとう。まだまだ沢山あるからどんどん食べてね」
そう言って俺の皿に肉と野菜を盛ってくれる。
今日もエリーが可愛い。
「あなた達、お肉ばかりたべていないで野菜も食べなさい」
レイお前母親みたいだな。
アランが大人しいと思ったらレイに食べさせてもらっていた。
肉も野菜も全部だ。
フォークすら持っていない。
まさか食事の度にコレじゃないよな?
俺も、俺も・・・エリーに毎食・・そっとエリーを見るといつもの俺の大好きな微笑みなのだが、ちょっと違う気がした。
エリーから愛情を感じるというか、俺の事を思ってくれているような、勘違いしてしまいそうな目で俺を見ていた。
「まだ食べるでしょ」
そう言って肉を食べさせてくれたが俺の顔は赤くなっていたと思う。
気のせいだよな・・・
俺の願望が強すぎて錯覚したんだよな・・・
腹いっぱい食べたあとはランのお披露目だ。
エリーの「ラン~おいで~」の声で一心不乱にエリーに向かって走ってくるラン。
遠近感がおかしい。
遠くにいても大きい。
近くに来たらさらに大きい。
まだ一歳そこそこだよな。
子供なら背中に乗れるんじゃないのか?
横から「ランちゃんは犬だったのか」と小さくつぶやくガルザーク。
一体なんだと思っていたんだ?
ランなぜ俺のところには来ないんだ?
初対面のアイツらには尻尾を振ってスリスリしているのに、何でなんだ?
特にゾルティーを気に入っているようだ。
こんなに嬉しそうなゾルティーの顔も珍しいな。
「ふふふっランはルフラン殿下をライバルだと思っているんじゃない?」
「そうだね。ルフラン殿下もランもエリーのこと大好きだもんね」
レイとアラン、俺の敵はランだというのか?
「ラン、ルフランにも触らせてあげて、またあなたの首輪を作ってくれのよ」
ランはチラリと俺を見たあとは"仕方ない、触らせてやるよ"とでも言っているかのように俺には感じられた。
まあ、エリーの大切にしている犬だからな、その態度も許してやるよ。
ランの首周りをメジャーで測るため、正面から見たランの瞳は本当に俺と同じ色だった。
エリーがこの瞳を見て俺を思い出すと言っていたのも分かる。
『ラン頼んだぞお前がエリーを守るんだぞ』
俺の気持ちが伝わったのか分からないが、ランは俺の目をじっと見ていた。
用が済んでしまえば、さっさとゾルティーのところに行ってしまったがな。
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