第7話

10歳になった。


王宮から5回目のお茶会の招待状が届いた。

届く度に思うわ。1年て過ぎるのが早いのね。


今回も祖父母とメイドたちの頑張りで私は見違えるほど、美しく着飾られた。

あれほど派手にしないでと頼んだにもかかわらずだ。


だいたい私の顔の作りが目立つのよ!

お母様に似てキツめの顔がね!

お母様は30歳を過ぎても、まだ20代半ばに見えるほど若くて綺麗だけど、まだ10歳の私は実年齢よりも老けて見えるのよ。

双子のアランと並んでも、しっかり年上のお姉ちゃんに見られてしまう。


それでも、今回のお茶会でもひっそりと目立たぬように隅で時間を潰して帰ってこよう。





挨拶のために並ぶなんて、もう!面倒臭い。

毎年なんだから、もう挨拶なんかいらないじゃん!


でもこれが貴族の常識であり、マナーなんだよね。

分かってはいるけど、第一王子からの視線が痛いんだよね。睨んでいるのか?

絶対に目を合わせないけど!


挨拶さえ済ませればアランとの楽しいお茶会だ。

あっちこっちで令嬢に囲まれているのが、きっと攻略対象者なんだと思う。

去年までは王子二人を囲んでいた令嬢も、現実が見えてきたのか、王子たち以外の優良物件にも目をつけたようね。


なるぼど!やっぱり精神年齢は女の子の方が上なのね。


ま、そんなことどうでもいいけどね!


私はアランに集中しないと、アランを狙っている令嬢が近づくこうとしているからね。

アランは私が守ってあげるわ!


私たちは双子ってだけで目立ってしまうからね。

声をかけてくれる令息令嬢もいるにはいるのだけど、アランは声をかけられても人見知りしてしまって話せなくなるし、私に話しかけてくれても目が合うと私の顔にビビったのか目を逸らされてしまうのよね。


だから、このお茶会に5回も参加しているのに友達すら出来ていない。

これはちょっと悲しい。



よし、時間だ、今回の義務も終了ね。

アラン帰りましょ。




我が家の馬車の前で第一王子が仁王立ちして待ち構えている。

今回もまた私を指でさして第一王子が言ったのがこれだ!


「喜べお前は未来の王妃だ!」


何を言っているんだ!

寝言は寝て言え!


「お断り致します」


呆然としている王子を不敬だろうが押しのけて馬車に乗り込む。

王子が止める間もなく出発する。


毎年、毎年やめてくれ!怖いわ!


一体何人の令嬢に同じ手を使っているんだか、呆れるわ。

こんな手を使って候補者を増やしていたのね。

だからゲームでは婚約者ではなく、婚約者候補だったのか!

他の令嬢なら喜んだでしょうが私はその手には乗らないわよ!



もちろん、帰ってから祖父母に泣きつく。


お前は未来の王妃だ!って指さされて言われた~

怖いよ~

もう会いたくないよ~

お城なんて行きたくないよ~

うわぁーん


「大丈夫、大丈夫エリーは私たちが守ってあげるよ」そう言って抱きしめてくれた。


もちろん今回の泣き真似作戦も成功した。


あと何回これを繰り返すんだ?



あの王子は何がしたいんだ?

もしかして、無礼を続ける私を断罪したいのか?


いや、マジで怖いわ。

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