最弱ユニークスキルと呼ばれたスキルで俺だけステータスがチートみたいになってる件~誰も周回しないような低ランクダンジョン周回で俺だけ無限に強くなれます

にこん

第1話 入学式直後なんだが……?

ネット動画を眺めていた。


「えー、新たに観測されました。Aランクダンジョン、悠木ダンジョンについて続報が」


現在2030年。

日本はダンジョン大国となっていた。


数年前に突然できたダンジョン、それから天から授けられたステータスやスキルなどに初めは人々も戸惑っていた。


しかし政府が調査を進める内にダンジョンの中には化学では説明ができない未知の道具やアイテムが存在していることが発覚。


そこに生息しているモンスターの研究も価値があるとされていた。


年月が進むとそのダンジョンの調査を進めるための民間企業なども増えていき、冒険者と呼ばれるダンジョン攻略を進める人口も爆発的に増加した。


そして、現在は冒険者を育成するための施設なども出来ており冒険者ブームの到来などとも言われていた。


「ふぅ……さてと」


息を吐き俺は立ち上がった。

今日から俺は私立の冒険者育成学校へと通う事になっていた。


名の知れた学校で俺なんかが行ける場所とも思えなかったが俺の特殊な生い立ちのお陰ではいれるようになったらしい。


その理由だが、妹が優秀だった。それだけの理由だ。


俺は制服に身を包んで家を出ることにした。

ちなみに両親はいない。

冒険者だった彼らはある日冒険に出てから家に帰ってこなくなり、民間の企業の孤児院に引き取られた。


こんな程度の不幸は今の日本では日常的な話になっていた。


​───────

名前:霧島きりしま 瀬奈せな

​───────



私立帝光学園。

俺はそこの校門に立っていた。

何人もの有名な冒険者を排出してきた名門校。

それがこの学園。


俺は特に何も思うことなく、その校門を通ったが、


「すげぇ……ここが帝光学園か」

「俺がここに通うことになるなんてな……」


感慨にふけるような生徒達をチラッと見て俺は入学式の行われる体育館を目指す。


体育館に入ると割り当てられていた席へ向かう。

どこの席かは送付された入学案内に書かれていた。


俺が座ると


「あ、あの」


隣から声をかけられた。

女の子だった。


茶髪ロングの女の子。


「ここに座ったということは同じクラスですよね?よろしくお願いします」


クラス毎に席は固まっていたので確かにそうだろう。


「ん?うんよろしく」


俺は話半分に答えを返していたのだけど


「わ、私の名前はサーヤと言います。お、お友達になってください」


なんて自己紹介を始めていた。

別に俺には慣れあうつもりはないんだがな。


ふんふんと俺が適当にその子の話を聞いていると入学式が始まった。


壇上に現れたのはここの学園長らしき人物。

その人物がよくある長い話をしてから引っ込むと、代わりにやってきた司会が口を開いた。


「それでは新入生代表による挨拶を」


壇上に登る女の子が挨拶を終えてしばらく、入れ替わるように学校側の人が話して入学式は終わった。


それから俺は自分たちの教室、5組へ向かうことになった。


クラスに入った後適当な説明を終えた教師の解散前言により今日は解散することになったため俺がクラスから出ると


「待ってましたよ、お兄様」


直ぐに俺に声をかけてくる人物がいた。


「待っていたのか」

「はい。お待ちしておりました」


そう返してくる少女、霧島 陽菜ひな

黒色の髪をショートカットにした少女。


お兄様と呼んでいるが俺は血の繋がった兄ではない。

それよりも


「初日くらい俺の相手はやめたらどうだ?」


そう言いながら俺は陽菜の後ろに目をやった。

そこには怪訝そうな顔で俺を見ている生徒が何人か。

恐らく陽菜のクラスメイトだろう。

その中の男が口を開いた。


「霧島さん、その人もこう言ってくれている事だし今日は僕たちと帰らないか?」


と陽菜に言っていた。

恐らく陽菜と同じく1組の人間だろう。


「見る感じ霧島さんとその人は仲が良いみたいだ。でも僕達との時間を作ってくれないだろうか?クラスメイトの事を知りたいんだよ」


と男は言っている。


「そうしなよ。陽菜。またいつでも会えるんだよ」


そう言ってみたが


「嫌です。あなたがいいんです」


そう言いながら陽菜は俺の右腕に抱きつく。

その様子を見て明らかに顔を不快にさせる男。


「霧島さん。僕話したよね?霧島さんの事は何年も前から知ってた。それが今日知り合えたんだ。お話させてくれないか?」


顔を不快な色にしながらそれでもめいいっぱい丁寧な話し方をする男。


「嫌です。私はこの人と帰りたいのです」


その声を聞いて男は口を歪める。


「そんな【エクストラ】の何がいいんだい?霧島さん」


その発言を聞いてこの場にいた多くの人間が男に向けられた。


エクストラ。

この学園には1~8組までクラスがある。成績上位から順に1から順に振られているため数字が大きいほど能力の低い者とされている。


そのため5~8をエクストラと陰では呼んでいる。

勿論いい意味ではない。


ちなみに予備生というのが正式な呼び名だが読んで字のごとく予備だ。


「そんな価値のないエクストラに構っている時間霧島さんにはないんじゃないかな?」


男は礼儀など知らぬ存ぜぬといった態度でそう口にする。


「この僕森山とお話した方が君のためになると思うのだけど」


そう名乗った森山に


「価値のない?」


信じられないものを見るような目を向ける陽菜。


「あぁ、価値なんてないだろう?ただのエクストラじゃないか」


そう言い切る森山。


「新入生代表の霧島さんなら分かるよね?エクストラがどれだけ価値がないか」


そう言われ陽菜は涙を流し始めた。


「泣けばいいと思ってるの?霧島さん。泣かないで欲しいんだけどな。全部事実なんだから」


言葉を並べる男に俺は口を開く。

流石に黙ってられないな。


「お前。口が軽すぎじゃない?」


その瞬間また周りにいた人間の視線が集まる。


そんなに見られたくないんだがな。

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