シャッター通りのバンクシー
こぼねサワー
第1話
「"シャッター通りのバンクシー"……なんだそりゃ?」
運転席の若い刑事は、外灯の少ない深夜の市道を危なげないステアリングで運転しながら、意外そうに聞き返す。
「知らないんですか、バンクシー? 世界じゅうの建物の壁とか橋とかに、メッセージ性の高い社会風刺的な絵を描きまくってく、
「バンクシーくらい知ってるよ!」
「"シャッター通りのバンクシー"ってのは、日本じゅうのヒナびた商店街のシャッターに勝手にペンキで絵を描きちらしてく、
「ヒトサマの店に無断で落書きするなんざ、オマエそりゃ、リッパな
「"うまくすりゃ"って言い方は、ちょっと……」
「カリスマどころか犯罪の常習者のくせに、
「"シャッター通りのバンクシー"に落書きされた商店街は、全国から客が集まって
「
警部は、
若い刑事は、前方の路肩に連なる赤いランプの後尾にゆるやかにハンドルを切りながら、いたずらっ子じみた童顔をキリリと引きしめた。
「それがですね。今回の
「そのうえ、殺されていた現場は、ヒナびたアーケード街……」
「なので、
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