第15話 山へ進め 1

「ああ……空が青い…‥見ろよ!下界の人間なんて、ちっぽけなものだ」


「おまえ。ほんとに僕より2つ年下の10歳か?……いつも思うけど爺くさい」


「どうだアランにい……いい景色だろ?」


「……あれが僕たちが住んでる城か?……随分と小さく見えるな」


「そろそろ休憩を終えますよ。お二人とも」


「もう少し休ませてよカーラ。僕はレイみたいに体力が無いんだから」


「のんびりしてると山の別荘に着く前に日が暮れてしまいますから。それにもう少しですから頑張ってくださいね」


「その大きなかばんは俺が持つから……」


「いや、これには僕の大事な本が入ってるから自分で持っていくよ……それじゃあ出発!」


「……あれかなり重いのに。アラン兄って結構体力あるんじゃないのか?」


「良かったですね坊ちゃま。……アラン様が元気を取り戻して」


「……ああ……無理にでも連れて来てよかった。母親ぺトラがあんななのに。アラン兄は素直で優し過ぎるんだよな」


 第二夫人のぺトラはクーデター計画の首謀者にもかかわらず、処刑でも蟄居ちっきょでもなく、離縁されてグラナダ帝国の実家のアラゴン侯爵家に帰った。長男クリスにいと俺にとっては母親の仇なんだが、だからこそ母親かあさまが死んでしまった悲しみが身に染みている。心優しいアラン兄の為と思って二人で父上に頼み込んだのでそうなった。


 後になってからぺトラが実家に帰ってから何か仕掛けてこないか心配になったんだが、父上が言うには魔王騒動や……「くしゅんっ!」……帝国の守護神が魔王に追われて逃げ廻って……「……へくちっ!」……行方不明になったので今の帝国事体に力が無いので何の心配もいらないとの事だった。


「カーラ?大丈夫?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る