ご要望の鍵はお決まりですか?

晴なつ暎ふゆ

プロローグ



 それは、どこかの街にある小さな店だ。

 屋根を覆う赤茶けた瓦。

 アイボリーに近い薄い色の壁。

 古そうな木の横扉。

 扉から少し離れた所にある、日焼けした木目の置き看板。

 そこには『どんな鍵でも作り〼』と書かれている、そんな小さな店。


 あなたが望むのならば、いつだって目の前に現れる。

 これは、そんな店の物語だ。


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