ホラーの流れに身を任せてみるpart2

saito sekai

もうどうにでも、してくれ!



会社帰りに友人Zに呼び止められた。「送るよ」なんていってくれるから、彼の車にチャッカリ乗った俺は、車の振動に心地よさを感じ、うとうとしていた。ふと気が付くと、暗くて何処かも分からない道を走っていることに気付いた。


「おいZ、この道違うぞ」「おかしいな…さっき右折したのが、間違いだったのかも」と停車してZは地図を広げた。内心、(乗るんじゃなかったな、ナビも無いなんて)と少し後悔した俺は、前方に白い服を着た女を発見したのだ。その女は俺達の車に近付き、乗せてくれというじゃないか!

女は言う。「私、確か死んでいると思うのだけれど、一緒にあの世に逝ってくれる人を探しているの…」俺の開いた口が塞がらないうちに、なんとZは涙を流しながら、彼女を乗せてしまったのだ!!Zはこれから崖に向かうという!!


行き過ぎて、大気圏を突き抜けんばかりの人の良さ、そしてその同情は光の早さより早い! 

心底感銘した俺は、今崖へと向かう車に乗っている。


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