適材適所

@yyysssaaa

第1話 出会い

「おいおい、そんな所まで逃げる必要ないだろ。なにかあるのか」


警察が1人の少年を追っている。

背は高く、ガタイもよい。長い髪がユサユサ揺れても少年は気にしない。名前は安良田松彦(あらたまつひこ)


「うっるせー。おっかけてくんな」


狭い路地を走り抜けようとしている。

障害物になりそうな物をひたすら倒した。

警察官の追跡を妨害する為だ。

こうなってしまってはほぼフラグで、

大体捕まるやつがする行為だったが、

安良田は映画やドラマを全くみ無い為知ったこっちゃなかった。


「おい、道塞げそうか」

 

警察は無線で応援を呼んだ。

その時、狭い路地の出口に2人目の警察官がたちはだかった。


「無駄だ。逃げるな」


安良田を追う警察官が叫んだ。


狭い路地の先は大通り。

大通りからは狭い路地が見えている。

警察が叫んだ事により大通りの通行人は

立ち止まって、ちょっとしたギャラリーみたいだ。


「応援よぶなー」






そう言いながら安良田は飛んだ。


「2人は、反則だっ、ろーー」


安良田は垂直の壁を踏み台にして

路地の出口に立つ警察官の頭を軽々飛び越えた。


「じゃぁな役立たず」


そういうと安良田は逃げた。


「ゴリラだ」


ギャラリーの1人が思わず呟いた。

フリーターの槇田高馬(まきたこうま)だった。


安良田の足がとまった。


「おいこら、いまいったのどいつだ」


「あぁ、やべぇ」


安良田の目は完全に捉えていた。

数いるギャラリーから槇田の事を見据えている。

それなり距離があるにもか変わらず。


「お巡りさんあいつ捕まえれるよ。突っ込んでくるから、2人がかりでね。とめてね」


そう言いながら警察官の後ろに身を潜めた。


「テメェゴラァァァ」


槇田の言う通り安良田は踵を返した。

警察の後ろに身を潜める槇田へと。


「止まれ、キサマ、このバカ」


安良田は警察官に取り押さえられた。

だが、安良田まだ槇田を見据えている。


「テメェゴラァ、忘れねぇぞコラァ、ぶっとばだぞこらぁ」


「こっわ。お巡りさんもっと抑えて。足で頭を抑えて」


これが安良田と槇田の初めての出会いだ。

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