第13話 数エル

「じゅう……じゅう……じゅう……じゅう……」


 女児が笑みを浮かべながら、心底楽しそうにマンホールの上でジャンプしている。

 あれが、マンホール少女というやつか。

 突き飛ばして代わりに跳んでいると、マンホールの蓋を素早く開けて穴に落とし込んでしまうという。

 たかだか小学一二年生の女児にそんな怪力があるかどうかはともかくとして、不気味だから避けて通るとしよう。


「じゅう……じゅう……じゅう……きゅう」


 ん?


「はち……なな……ろく……ご……」


 どういうことだと振り返ると、マンホールの蓋が開いていて、穴から亡者たちが我先にと這い出てきている最中だった。

 その横で、


「よん……さん……に……」


 心底楽しそうに、自分のことを指差しながらカウントダウンしている女児の姿。

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