第11話 掴マレル

「……な、なあ。俺たち、友達だよな?」


「はあ?どうしたんだよ、いきなり」


「こ、答えてくれよ。俺たち、友達だよな?」


「当たり前だろ。何わけの分からないこと言ってるんだよ」


「やめてくれ……」


「え?」


「やめてくれよ……」


「だから、何言ってるんだよ。さっきからさ」


「……ごめん、ごめんな。あの時、見捨てて逃げたりして……。お前が足首掴まれてるって言った時、怖くて、どうしようもなくなっちゃって……。後で戻ったら、トンネルの真ん中に空っぽの車があるだけで……。行方不明ってことになったけど、もしかしたら、どこかにいるかもしれないって、諦めきれなくて、どうしようもなくて、またここに来たんだけど……ごめんな……ごめんな……」


「……そんな顔すんなよ。俺たち、友達だろ?」


「う……うん……」


「だから、こうして迎えに来たんだよ」


 足元——アクセルペダルとブレーキペダルの間から顔を覗かせている友人が、満面の笑みを浮かべながら言った。

 次の瞬間、俺は両足首を掴まれ、凄まじい力で奈落の底へと引っ張られた。

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