第3話 掛カッテクル

「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


「……チッ、またかよ」


「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


「うるっせえな!いい加減にしろ!」


「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


「迷惑なんだよ!何回も何回も掛けてきやがって!」


「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


 まったく、何だってんだ。

 着信拒否にしても、番号を変えても、懲りずに掛かってくる。

 聴こえるのは、うがいでもしてるみてえな水音だけ。

 ダムに沈んだ村から似たような電話が掛かってくるという怪談は聞いたことがあるが、


「海の底で大人しくしとけ、ボケッ!もう一回殺してやろうか!」


 沈める前に、スマホを取り上げときゃ良かった。

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