優しい嘘

ももいくれあ

第1話

微かな香りが鼻の奥にツンとして、ハッとした。

また、やってきたこの場所に、

新しい季節になれば、何かが変わる。

そう信じて、願ってきた。

無造作な足跡が、戯言の痕跡となっていた。

いつまで待てば終わるのか。

いつから季節が始まるのか。

今はまだ分からなかった。

隙間風が頬に薄く当たって、鋭く切った。

もう、来ない。この場所に。

そう約束して欲しかった。

嘘だって、よかったんだよ。

優しい嘘、ついてほしかった。

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優しい嘘 ももいくれあ @Kureamomoi

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