第138話 ミノタウロスの廃ショッピングモール 4

 棍棒を持ったミノタウロスの力は正面から受け止める力は私にはありません。ですが、杖には受け流しと言う技があります。


「力では遠く及びません。ですが、人には技があるんです!受け流し!」


 棍棒を受け流して、ミノタウロスの側頭部を殴りつけました。


「刺突!」


 白金さんの威力は絶大です。弱い私でも魔力を込めて技を使えば。


「倒すことができるんです!」


 鬼人化しなくても、初めてミノタウロスを倒せました。


『ヒデ〜次〜』


「はい。どんどん行きましょう。ミノタウロスライダー?たちが、群れで押し寄せてきますよ!」

 

 牛は群れで行動すると聞いたことがあります。

 今までに見たこともないほどの、ビッグブルの大群です。


「ミズモチさん。どうしますか?大量のブルさんたちに囲まれてしまいます!」


『わ〜い。いっぱ〜い。ゴハン〜』


「ミズモチさんはブレませんね。覚悟を決めますか。変身!」


 私も鬼人化して、戦闘準備に入ります。

 白金さんは魔力に魔力を注いで、太く長く伸びてもらいます。


「ミズモチさん! 魔力をください!」


『は〜い』


 ミズモチさんがいる限り、私は魔力切れにはならないように気をつけて、白金さんに注いでいきます。

 威力も増強して、鬼人化していなければ、持っているのも辛いほど大きいです。


「白金さん!行きますよ」


『ヒデ〜ガンバッて!』


 私に魔力を注いでくれたおかげで小さくなったミズモチさんに応援されて、私は白金さんを振りました。今の白金さんは振るだけで、ブルさんたちには痛いです。


「イケー!」

『イケー!」


 巨大なブルの群れは、白金さんに突撃をかけてきては吹き飛んで行きます。

 上に乗っていたミノタウロスたちが落ちてきます。


「ミズモチさん」


『わーい。ゴハン〜落ちてくる。ウシ〜』


 魔力を回復させたミズモチさんが、落ちてくるミノタウロスを空中で食べては次へ跳んで、落ちてきたミノタウロスを拾っては食べています。


「どんどん行きますよ!」


 私が動かなくても、ブルたちが勝手に突っ込んできます。

 溢れてくるブルたち。落ちるミノタウロスの雨。


『ゴハン〜いっぱい』


 ミズモチさんが喜んでくれるので、私も張り切って白金さんを振り続けました。


【ブモーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!】


 ショッピングモールの屋上から響き叫び声に地面が震えて、立っているのが辛くなります。


「あれは!!!ホルスタインミノタウロス???」


 今までのミノタウロスは、茶色ばかりでした。

 ビックブルに関しては黒い毛並みをされていました。


 ですが、目の前で叫んでいるミノタウロスは、ホルスタイン柄のムキムキボディーに、ビッグブルよりも大きいです。


「あれがミノタウロスダンジョンのボス? A級のモンスターでしょうか?」


『ボス〜クル〜』


 ミズモチさんの声が頭に響いて、私は身構えました。跳躍するホルスタインミノタウロスは、巨大な斧を振りかざして飛来してきます。


『ヒデ〜乗って〜』


 私は考えるよりも早くミズモチさんに飛び乗っていました。

 恐怖(中)でも、私の心が怖いと感じています。


「ミズモチさん」


『マカセテ〜』


 ミズモチさんは、私を乗せて勢いよく動き出しました。

 高速で動くミズモチさんは、飛来したホルスタインミノタウロスから逃げてくれる。


「アレは大きいですね」


 ビックブラックベアーさんも大きかったですが、遥かに大きなホルスタインミノタウロスに私は呆然としてしまいます。あれと戦うのはまだ早いです。


「ミズモチさん。撤退はできますか?」


『ムリ〜』


「えっ?」


『トビラ〜開かない〜』


「ええええええ!!!!」


 もしかして、ボスが出現すると扉が開かなくなるのですか?

 ということはあれを倒さないと出れないのですね。


 いや、無理無理無理無理無理ですよ。


 今までの魔物よりも遥かに強いです。

 大きいですし、勝てる気がしませんよ!


『ダイジョウブ〜一緒にガンバル〜』


「はは、そうですね。私にはミズモチさんがいました。あの化け物に負けるわけには行きませんよね!」


 恐怖は今もあります。

 ですが、必ずミズモチさんと二人で帰るんです。


「ミズモチさん。ここには二人しかいません。誰も助けてはくれないんです。頼りにしてもいいですか?」


『いいよ〜ヒデ〜ナカマ〜』


ふふ、ミズモチさんに仲間だと言ってもらえているのです。

私も覚悟を決めるしかありませんね。


「ミズモチさん。行きますよ!」


『イコ〜!』


 私はミズモチさんに跨って鬼人化に白金さんを構えます。

 気分はスライムライダーです。

 動きや回避は全て、ミズモチさんに任せて私は攻撃に集中します。


『アイスジャベリン』


 ミズモチさんが、氷の槍を放って開戦です。


【ブモーーーーー!!!!!!!!】


 ミズモチさんや白鬼乙女さんとは会話ができたのに、ホルスタインミノタウロスがいうことは何もわかりません。


「意思疎通ができない。モンスターは危険です」


 白金さんにしっかりと魔力を流して攻撃力を強くする。


「全力で殴ります!」


 巨大なホルスタインミノタウロスが振るう斧を、ミズモチさんが避けてくれので、私はホルスタインミノタウロスの脛へ白金さんを全力で振います。

 

 弁慶の泣き所と言われるほど痛いところ、今できる最大限の攻撃力を誇る白金さんで殴りつければ……


【もっモモモッモ@%$#@$#%】


 なんとも痛そうな鳴き声で、ホルスタインミノタウロスがのたうち回っております。


 私ちょっとだけ思いました。


「行けそうです!」

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