第137話 ミノタウロスの廃ショッピングモール 3
ユイさんと別れた私はミノタウロスダンジョンの前へとやってきました。
職員さんとも3度目になれば顔馴染みですね。
「こんにちは」
「よう、あんたか。この間は大変だったみたいだな」
「皆さんにご迷惑をかけてしまいました」
「おっ、おう。あれならな。とにかく今日も入るのか?」
「はい。もう少し持ち運びの方法があればいいのですが?」
「まぁ、金さえ払えば、そういうのを受け持つ奴らもいるらしいぞ」
「えっ? そうなんですか? 配送業務を請け負っていただけるのですか?」
「ああ。冒険者として力はなくても、そうやって助けをしてくれるサポートは多いぞ。まぁ俺たち職員も同じようなサポーターだけどな」
色々なお仕事がありますね。
確かに、最近はネットで買い物をすることが増えているので、家の前に置き配をして頂きます。
ハルカさんのような高級なマンションだと、宅配ボックスなるものまであるそうです。
私のアパートにはそんな上等な物はありませんけどね。
それにしても、冒険者ギルドへ配送は考えないといけないんですね。
馬の被り物は確かに普通の状態で見ると怖いですね。
非常事態でしたから仕方ないと思っていました。
私の素顔と被り物では、被り物の方が良いと思ったのですが。
「とにかく今日もたくさん倒すのか?」
「はい。今回はレベル上げがメインなので、一先ずレベルが上がるまで頑張ります」
「そうなのか?レベルはなかなか上がらないって聞いたぞ。大丈夫か?」
「えっ?そうなんですか?」
「おう。世界でもレベル最高位は30ぐらいじゃなかったかな? それでもダンジョンレベルSに潜れたはずだ。まぁレベルの概念なんてまだまだわからいことだらけで何もわかっていないそうだけどな」
私も冒険者になってハルカさんやユイさんに説明してもらうようになりました。随分と色々なことを勉強しました。
冒険の最高レベルは30だそうです。日本人の最高レベルは28のSランクの方がおられます。
私のレベルは11なので、まだまだ強くなれます。
ただ、B級ダンジョンに出現する魔物は16〜30レベルと言われています。
ミノタウロスダンジョンがB級ダンジョンで高位に属しているので、レベル20を超えていると予測できます。
魔物を倒す以外に、レベルは自身の体に魔力を貯める必要があるそうです。
昇級試験が、ダンジョンの中で過ごすのは、ダンジョンで魔力を体に吸収する訓練も兼ねているそうです。
「わからないですが、私は頑張るだけです。レベルを上げて会いたい方がいるので」
「まぁよくわかないけどさ。頑張れよ。あんたを見ているとなんだか応援したくなるんだよな」
「ありがとうございます!」
私は職員さんにお礼を言ってミノタウロスのダンジョンへ入って行きました。
今回の目標は、ミノタウロスのダンジョン攻略です。
今まで、攻略を目標にしたことはありません。
成り行きで、ダンジョンボスと戦ってきただけです。
「「「「「「「「「「「もももももももももももももも〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!」」」」」」」」」」」」」
不思議な物ですね。
3度目になると彼らの声も私を歓迎しているように聞こえてきます。
『ウシ〜ゴハン〜』
「ええ。本日は、ミノタウロスダンジョンに挑戦です。この歳になって何かに挑戦するって大変なことだと思ってきましたが、なぜでしょうか? 私の心はワクワクしているんです」
『ヒデ〜楽しい〜?』
「そうなのかもしれません。私も漢だったのですね。自分は一生争うことなく、社会に埋もれていくのだと思ってきました。ですが、ミズモチさんと出会って、ご近所ダンジョンさんのおかげで強くなって、今充実していると感じています」
『ヒデ〜ナカマ〜』
「ミズモチさんも楽しいですか?」
『楽しい〜ウシ〜ゴハン〜いっぱいタベル〜」
「はい。本日は制限なしで行きましょう。まずはレベルを上げることです。その次にダンジョンボスを倒しますよ」
『ボス〜倒す〜』
ミズモチさんは、最初から頼もしいです。
どうしてスライムさんが最弱と言われるのか分かりません。
私はミズモチさんが他の魔物に負けるイメージが持てません。
まぁ他のスライムさんを見たことがないんですけどね。
「さて、一匹目ですね」
初日に訪れた時は、ミノタウロスが一体できましたが、今私の前の前にいるミノタウロスはビッグブルに跨って棍棒を持っておられます。
「えっと、あれは普通のミノタウロスなんでしょうか?見た目には、ミノタウロスライダーとか名前が付きそうですね」
巨大なビッグブルに跨っているので、ミノタウロスが遠くてどうやった倒せばいいのでしょうか?
『ヒデ〜乗って〜』
「なるほど!その手がありましたか!」
私はミズモチさんに乗って、ミズモチさんが大きくなります。
大きさだけなら、負けていません。
まるで怪獣大戦争です。子供の頃を思い出しますね。
「ミズモチさん、行きましょう!」
『ヒデ〜ゴハン〜」
「はい!食べちゃってください!」
ミズモチさんとビッグブルがぶつかり合って、ミズモチさんが飲み込もうとします。私は、ぶつかり合う怪獣たちの上で、私はミノタウロスに睨み合います。
「私たちも決着をつけましょう」
「ブモゥー!!!」
白金さんを構えて私は迫りくるミノタウロスを迎え打ちました。
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