第63話 ミズモチさんのお出迎え

 これは仕事から帰ってきた私が感じる幸せについて、少しだけ皆さんへお裾分けしようと思った話です。


 私が仕事を終えて帰ってきた時、玄関を開けると物音に気付いたミズモチさんが、ダンボールからモゾモゾと出てきます。


「ミズモチさん。ただいま帰りました」


 ミズモチさんは私の前まで来ると、ミョーンと効果音がするのではないかと思うほど伸びをします。

 関節はないはずなのに、お餅が伸ばされるように伸びております。


「ふふ、撫でて欲しいのですか?」


 私は伸びたミズモチさんの身体を優しく撫でてあげるので、ミズモチさんのボディはスベスベプルプルです。

 撫でていると伸びていた身体を丸めて、私の手に巻きつきました。

 最初の頃は食べられてしまうのかな?と驚いたこともありましたが、消化をすることなくて、手に巻き付いたまま……


《ミズモチさんはプルプルしながら、おかえりと言っています》


 と言ってくれます。


 ハァ~誰かにおかえりと言ってもらえることが、こんなにも嬉しいことなどと本当に知りませんでした。

 それから身体を水餅サイズへ凝縮して、私の掌に乗ってくれます。


 手乗りミズモチさんになったら、ミズモチさんをツンツンしながら、場所を移動してご飯の支度に取りかかります。ミズモチさんは食いしん坊なので、いつも大量の食材を用意します。


 私の給料だけでは全然足りませんが、冒険者をやり始めたことで、毎月ミズモチさんのご飯分は余裕で賄える金額を稼ぐことが出来るようになりました。


 料理が完成するまでお待ち頂くので、ミズモチさんをテーブルを下ろして、すぐに食べられるベーコンの塊を数個にお皿に切り分けて、ミズモチさんの前に置きます。

 横にはボウルに入れた水も忘れません。


「ミズモチさん。まずはこれを食べておいてください」


《ミズモチさんはプルプルしながら、頂きますと言っています》


 ベーコンの塊は、一つでは一瞬でなくなってしまうので数個に分けてあります。

 水餅サイズのミズモチさんと、ベーコンの塊が同じサイズなので、一つを消化するのも時間がかかるようです。


 待ち時間だと分かっているミズモチさんは、ゆっくりと味わっておられるのです。


 その間に私はメイン料理を完成させて、テーブルへ並べて行きます。


 私、ミズモチさんが来てから料理上手になった気がします。今のスーパーが凄いだけですけどね。

 様々な簡単調理レシピがネットを検索すれば出てくるので大助かりです。

 何よりも冷凍食品が美味しすぎませんか?温めるだけで美味しくなるものから、一手間かけるだけで抜群の美味しさになる物まで勢揃いです。


「ふぅ~ミズモチさん、オヤツにしましょうか?」


 私は冷凍庫から、今川焼きを取り出してレンジでチンします。


「ミズモチさん、あんこたっぷりですよ」


《ミズモチさんはプルプルしながら、ありがとうと言っています》


 ふふ、ミズモチさんと暮らすようになって本当に楽しいですね。


 あっ、そう言えば最近は新しい遊びを二人でしているのです。


「ミズモチさん、遊びますか?」


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


 私はお風呂場から水鉄砲を持ってきました。


「行きますよ!溢さないようにお願いします」


 最初はお風呂場でしていた遊びだったのですが、100円均一で買ってきた水鉄砲をお風呂場で撃ったところ、ミズモチさんが水に反応して飛びつきました。


 ミズモチさんが水を全てキャッチしてくれるのです。

 それからは二人の遊びになりました。


「行きます!えい!」


 発射された水をミズモチさんがナイスプレーで飲み干していきます。


「エクセレントです。ミズモチさん!」


《ミズモチさんはプルプルしながら、ありがとうと言っています》


「次は連続発射です!」


 私は二連続で発射すると、ミズモチさんは身体を大きくして、床に溢すことなくキャッチしてしまいました。


「うわ~そんな方法があったのですね。凄いです」


 私が拍手を送ると、ミズモチさんは大きいまま近づいてきて私の膝に乗ろうとします。


「ミズモチさん、サイズサイズ」


 声をかけると子犬ぐらいのサイズになって膝に乗りました。


「ふふ、今日もミズモチさんに癒やされますね。お風呂に入りますが、一緒に入りますか?」


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


「あっ、お湯は飲んではいけませんよ。プカプカ浮くだけです」


《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》


「それでは行きましょう」


 ミズモチさんの身体を洗って、シャワーで洗い流して二人で湯船に浸かります。


 漂うミズモチさんを見ながら、本日の疲れを癒やすのが私のルーティーンになりつつありますね。


「ミズモチさん、電気を消しますよ」


 布団の中へ入ってきて、私の枕元で一緒に寝てくれるミズモチさんは、私が寝てしまうとダンボールに戻っていくようです。


 ハァ~ミズモチさんとの生活は……


 私の生きる活力ですね。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 あとがき


 どうも、作者のイコです。


 本日で、道にスライムを捨てられていたから連れて帰りました。の投稿が一ヶ月経ちました。

 最初は思いつきで書き始めた見切り発車でしたが、たくさんの方に読んでもらうことで作者のモチベーションが上がって、ここまで書き続けられることができました。

 本当にありがとうございます(๑>◡<๑)


 今後も楽しんでもらえるように、頑張りますのでどうぞお付き合いくださいませ٩( ᐛ )و

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