第44話 レベル5
いばらき童子ダンジョンから離れて、少し経ったところで梅田さんが車を止めました。どうしたのでしょうか?
「………ふふ……ぶはははははっははははははっはははは!!!!」
急に梅田さんが笑い出してギョッとしてしまいます。
「あっ、アカン!!!なんや、今の!あっ頭が……頭が光るってなんなん」
私の頭を指さして爆笑しておられます。
ふむ。どうやら私の頭が光り輝いたことが、面白かったようですね。まぁ、私もあの作戦はなかなかに覚悟がいりましたからね。
「ハァハァハァ……阿部さん……あの作戦はヤバいな!笑い殺されるかと思ったわ」
しばらくして梅田さんの笑いが、なんとか納まったので、車を止めた場所の近くにあった自販機で温かい缶コーヒーを買いました。
「ハァ~面白かった……阿部さん。あんた面白いなぁ~」
「そうですか?」
「そら、あんな鉄板ネタ持ってたらどこ行っても芸人になれるで!」
私は芸人になる気はないんですが、楽しんで頂けたら嬉しいですね。
「阿部さんに声かけてよかったわ」
「そうですか?」
「うん。私……ここで仲間を失ってしもうてん」
「えっ?」
「あっ、そんな深刻にならんといてな。ホンマにバカな奴でな、慎重に冒険はしなアカンって何度も言うてるのに、無茶ばっかりするやつやってん。死んだって知ったのも最近で、もしかしたらそいつの遺品があるかもしれんって思って探しに来たかってん。そやけど私一人は危ないし、こんな時期に臨時でパーティー組んでくれる人もおらんくてな」
きっと……梅田さんにとって大切な人だったんでしょうね。
「お付き合い出来る日は限られていますが、一緒に行ける日は頑張ります」
「ありがとうな。私の我儘に付き合わせてしまって……絶対にお礼はするから」
そう言って、真剣な目で私の手を握る梅田さんからは、本気の思いが伝わってきました。
家に帰ってくると、随分と遅い時間になっていました。
母さんが心配して待っていてくれたので、梅田さんに会ったことを話して、しばらく遅くなると伝えました。
「無理しなや」
「はい」
親に会いに来たつもりでしたが、なんだか大変なことになりましたね。
自分の部屋に戻ってきた私は、さっそくレベルアップのスキルを振り分けることにしました。
レベル 5(SP50)
SPのタッチすると項目が現われました。
・魔物の攻撃強化+4
・魔物の防御強化+4
・魔物の魔法強化+4
・魔物の魔法防御強化+4
・魔物の異常耐性強化+4
・魔物の回復力強化+4
・魔物の異常耐性回復+4
・魔物の魔力吸収
・魔力量アップ
・かばう
・発毛α
おや、今回はよく分からない項目が多いですね。
発毛……α?+1とかではなく? 何故α? 消費スキルは……40!!!! 今までの最高値です! αを使えばどんな風になってしまうのでしょうか?
湊さんは魅力+1を取ったことで、女優さんの様に美しくなっていました。
もしも発毛αを取ったなら、髪が生えるだけでは済まない? その先を見ることが出来るということでしょうか?髪が生えるその先ってなんですかね?
いえ、取りませんよ!
私も考えたのです。今まで私は努力をしてきておりませんでした。いつのまにかレベルを上げて、いつか発毛さんを取る! そんな考えをしていました。
実家に帰ってきたことで私は努力を怠っていたことに気付いたのです。私、毛生え薬を始めようと思います。
頭が父さんに追いついたと言っても、父さんの方がまだ髪がありました。
あの歳で髪が存在しているということは、私の歳であれば復活できるはずです。
スキルに頼るのではなく自分で努力しようと思います。
「それではいつも通り、ミズモチさんの能力をアップさせて、残りは魔力量アップとかばう?を取りました」
new魔物の魔力吸収
・魔法を使って消費した魔力を、他の魔物から吸い取ることが出来る。
ミズモチさんはどんどん強力になって行きますね!
今までは魔力を持つ物から魔力を吸収出来ました。
これからは魔物を取り込むことが出来るということでしょうか?
new魔力量アップ
・魔法を使うときのマジックポイントアップ。
私のマジックポイントは5ポイントでした。
レベルが上がったことで10ポイントに上昇出来ました。魔力量アップを取ったことでさらに+5ポイント頂けたので、これはレベルが上がる毎に魔力が増えやすくなるということでしょうか?
ちなみにライトは魔力1を消費して、ライトアローやカッターなどは魔力2を消費します。
これからもっと凄い魔法を使おうと思えば、魔力はあるに超したことはありませんね。
newかばう
・パーティーを組む仲間、テイムした魔物をかばうことができる。
アクティブスキル かばう
かばう対象を決めて、対象に向けられる意識を自分の方へ切り替えることが出来る。
ミズモチさんを攻撃しようとするモンスターがいたときに「私を代わりに殴りなさい!」といった感じでしょうか?まぁ殴られる前に逃げるか、ライトを使うことで回避を考えるしかありませんね。
「ふぅ~スキルの振り分けを終えました……ミズモチさん……念話さんの調子はいかがですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、なに?と言っています》
「うん?なに?うん?ミズモチさん。今は元気ですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》
「おっ?ミズモチさんは私が嫌いですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、いいえと言っています》
「ミズモチさん質問してもいいですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、なに?と言っています》
「ええと、これは答える幅が広がったのかな?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》
「おお、そういうことなんですね!!!はい。いいえ。それになに?と問い返してくれるミズモチさん……これは進歩しているんですかね?」
私はあまりにも牛歩な念話の成長に疑問を抱かずには居られませんが、ついついミズモチさんに問いかけてしまいます。
「お話してもいいですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、なに?と言っています》
「ミズモチさんは、魔物と戦いたいですか?」
《ミズモチさんはプルプルしながら、はいと言っています》
「はぁ~何でしょうか……これはこれで会話が成立しているようで、していないような……ハァ~一先ずは成長しているのだと信じましょう」
一先ず、明日も梅田さんといばらき童子ダンジョンを頑張りましょう。
……
…………
…………………
ふと、ミズモチさんを私の頭の上に乗せて見ました。
「ミズモチさん。少しだけすいません」
《ミズモチさんはプルプルしながら、なに?と言っています》
「いえ、ちょっとしてみたいことがありまして……痛くはないと思うのですが」
鏡の前に立ち、ミズモチさんが私の頭の上に乗っていることを確かめます。
ミズモチさんの身体はひんやりしていて気持ちいいです。
「いきますね。ライト!」
私の頭が光り輝き……私の頭に乗っているミズモチさんも光っていました。
「おお!光るミズモチさん完成です!!」
ミズモチさんが輝く姿が見れるなら、私の頭も捨てたもんではありませんね。
来年の忘年会の余興に使いましょうか?矢場沢さん笑ってくれますかね?
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