第13話 話合

朱音が目を覚ます午後7時まで、三日月はリビングのテーブルに座ってずっと考えていた。


いつから、どこから、なんで、なにが、どこまで、どういう、どんな、どうやって、どうして……


───そして、どうする。───


心を休める為に入れたコーヒーも、完全に冷めきってしまった事にも気づかない。


それ程までに、三日月の整頓された心は、根本から崩されたのであった。


朱音が起きる。

朱音は、いつもと変わらない笑顔で、

「一緒にお風呂に入ろう」と言ってきた。



イツモドウヤッテイタダロウ……


自分が普段、どうやっていたか分からなくなりぐちゃぐちゃな順番で全身を洗う三日月。


目の前で共に湯船に浸かっているこの女性は、一体私のなんだろうか……。


そんなことも露知らず、朱音はいつもと変わらない様子でじっ、と三日月を見つめる。


「話って、なに?」


三日月の全身が凍り付いたように硬直する。

色々な思いが三日月の中を奔走し、思考を掻き乱す。


「……俺の事、好き……?」


自然に出た言葉、三日月が今まで聞いた事の無いトーンでその言葉を口に出した時、僅かに朱音の顔が歪んだ。


「……今は、わかんないかも……。」


三日月はもう、色んな感情でいっぱいいっぱいだった。


「K太って、誰?」


三日月はストレートに朱音にどんな奴か聞いてみようと、全ての感情を奥に押し込み、朱音の目を真っ直ぐ見つめてそう言った。


朱音はそれを見て、表情が変わった。

瞳孔が閉じ、表情が無くなり、まるで……。


───三日月への興味が無くなったみたいに───


「他に好きな人が出来たの。誰だかはもう分かるでしょ?」




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