第5話 友達
枋木さんはいつも多くの友達に囲まれている。
休み時間なんて、友達に囲まれて賑やかだ。
本人も楽しそうにしている。
移動教室の時はその時々で友達が替わる。
だが、特に枋木さんと一緒にいるのは、同じクラスの
身長165センチのスラッとした、ショートヘアが似合う女子生徒。
普段はキリッとしていてしっかり者で、自分に厳しいが枋木さんにはかなり優しい。
枋木さんとは中学からの親友だそうだ。
門倉さんはバスケ部に所属している為、昼休みに枋木さんと一緒に過ごす事はたまにある。
そんな今日、2人は一緒に昼休みを過ごせる日の為、空き教室で2人きりでいた。
どんな話をしているのだろうか。
気にはなるが、詮索はしない。
そのために、僕は教室で甘い玉子焼きをパクりと食べて「うまっ」と小さく呟いた。
※
枋木
麻耶ちゃんと空き教室にいた。
久しぶりに一緒に昼食だ。
お弁当が一段と美味しく感じる。
1人でお弁当を食べるより格段にいい。
それに最近は、隣の席の
今日は麻耶ちゃんがいるから、麻耶ちゃんにお弁当の一口目を決めてくれた。
今日は冷凍のハンバーグからスタート。
「風香、料理また上達した?」
「そんなことないよ」
毎日料理はしているけど、上達した感覚は全くない。
「だし巻き玉子、この前よりも美味しいもん!」
「そう?」
きっと隣の席の薮木君にお弁当の中身を見られているから、自然と見られているっていうプレッシャーを感じて、下手な料理にならないようにしているのかも。
言われなければ気づかなかった。
「まさか、恋とかぁ~?」
「いやいや」
私は苦笑して否定する。
麻耶ちゃんは怪しんでいるけど。
本当にそれはない。誰がいるんだ。
こんな私に相手する人なんかいない。
なんて否定していると、ふと薮木君が浮かんだ。
同じクラスになったのは今年から。
初めましてである。
まだよく分からないし、この状態は無視しよう。
いずれ忘れるのだから。
「ふぅ~ん」
麻耶ちゃんはなんだか不服と言わんばかりに不満気である。
すると「もーらい!」と言って、私のお弁当からタコさんウインナーを1つ誘拐してしまい、彼女の口の中に入ってしまった。
「なんで!?」
ちょっと怒ると、麻耶ちゃんはこう言った。
「風香、素直になりなさい、以上!」
ふふっと笑った麻耶ちゃんだった。
タコさんウインナー…さようなら。
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