現実④
船員たちがイメージする。巨大ロボットが腕や背中に備え付けられたミサイルを発射する。「今まで犠牲になった全員の分だ!」「喰らえー!」「行けー!」「よし!全弾命中!」「どうだ。先制パンチの威力はすごいだろ!」ミサイルが対象に命中し喜ぶ船員たちだったが、サトリは対象から目を離していない。対象に抱いた疑問が頭から離れていなかったからである。そして、サトリの疑問は的中する。「皆さん、見てください!様子が変です!」球体は無傷で巨大ロボットの前に姿を現す。「くそっ!」「やっぱりそう簡単には行かないのか…」諦めかける船員たちに向かってタイガが叫ぶ。「諦めるな!こういう時は前だけ見るんだ」「そうね…まだ終わったわけじゃない」「もう一度ミサイルを発射しましょう!」巨大ロボットがミサイルを発射する。「よし!全弾命中!」「だめだ。全く効いていない」「あれ?何か動いてない…?」球体が割れ、中から黒くてアメーバのように柔らかいものが伸びて巨大ロボットの胸部に突き刺さる。「きゃあ!」「何だ!?」「うっ…操縦ができない…乗っ取られてる感じ」黒いアメーバの突き刺した方と反対側が巨大ロボットと同じ形に変わる。「巨大ロボットと同じ形になった!?」「ううっ…気持ち悪い…」「まさか…突き刺したものの情報を読み取ってるんじゃ…?」「ということは相手もミサイルを!」「みんな、脱出だ!」船員たちがイメージし、球体の脱出ポッドが放たれる。直後、黒いアメーバが放ったミサイルで巨大ロボットは粉砕する。「お前の敵はいなくなった。このまま何処かへ行ってくれ…」「お願い…」船員たちの願いに反して、黒いアメーバはゆっくりと脱出ポッドの方を向く。「これは夢だ!悪い夢なんすよ!」「目を覚ませ!」「痛い…夢じゃない」「もう僕らには何もできない」「今度こそ本当に終わりだ…」諦める船員たち。サトリは同級生にもらったお守りを見つめる。(何かあったら思い出してって言ってたな。もう一度会いたかった。だめだ、諦めてる!こういう時は前だけを見るって先輩が言ってたじゃないか。お願いします。神様、どこかで見ているなら僕たちをお救い下さい。僕は生きて帰ると約束したんです)サトリがお守りを強く握りしめる。黒いアメーバがミサイルを放つ。その時、何処からともなく現れた眩い光を放つ巨人が脱出ポッドを守る。「奇跡だ…奇跡が起きた」
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