夢③

 男は、浮遊していた。辺りを見回すと、色々な情景が入り乱れる空間だった。目の前には、一つの巨大な扉があった。吸い込まれるように、次の場所へと移動した。男が着いた先は、死者の世界、のはずだった。しかし、そこは漆黒に染まる暗闇だった。(あまりにも多くの人が死に過ぎたのか…)その中に一点の別の黒がある。その方に、男は近づく。徐々に大きくなって、人の形をした水色に光る存在が現れた。「あなたは誰だ」男が尋ねる。「わたしは、輪廻転生する魂の管理者。おまえはウォーリーだな?」「そうだ。何をしている?」「わたしは、多くなり過ぎた死者の魂を仕分けている。新たに生まれて来る者に与える為に必要なのだ。おまえこそ、何をしに来た?」「私は、人であり、神である存在。一度目は、人の生きる様子をそばで見ていた。その中で、人は災害があろうと獣に襲われようと必死に生きていた。私のあとも、代わりの者が千年ごとに交代し、同じように見ていた。1万年が経ち、また私の番が来た。二度目は、同じように見るつもりはない」「なぜだ?」「必死に生きる人を見たのと同じ数だけ、死んでいく人を見た。もうこれ以上見たくはない」「それで、ここに何をしに来た?」「私は、物語を終わらせに来た。その為に、私は死神となる」

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