ソアル出張編

備えあれば憂いなし

首都ティアオーク

テリー冒険案内所からしばらく歩いた距離ではクダンスター地区に所在する王城がキレイな真っ白の姿で佇んでいる。

その王城の城門に繋がる城下町の路上で今日も盛んで賑わっている。

様々な店や露店も並んで、様々な物品を商売に出している。

その路上にはかなりというレベルじゃない目立っている容姿の二人組が歩いている。


なぜかというと、二人共はの髪をして、をしているからだ。

この特徴...さらに二人が一緒に歩いている姿を見た通行人には二度見しない訳がない。首都では最近異国の人々が街の中に歩いていることは決して珍しくないが...だからと言って、この二人の珍しさはダントツになっている。

その二人組の片方は周りの目を気にしながら、なんだか落ち着かない様子でもう一人の人に目を合わせようとした。

しかし、その相手は周りの様子を全く気にせず、真っ直ぐに道を進みながら、何かについての説明を続けている。


「ソアルという国は僕たちの母国、ドゥナリアスから海を渡って一番近い...いわゆる隣国とも呼べます。陸の国境はないですけど、昔から交流があると思われます。そのため、ソアルとドゥナリアスの文化は根本的に近いです。もちろん言語的にも驚くことにもはや通訳不要でも9割コミュニケーションが取れます。それぐらい近いですが...昔ののとき...ドゥナリアスは最初の陸の拠点としてインナムレグ帝国の助力を得て、ソアルを支配下にしました。それから次にアニックまで勢力を伸ばそうとしましたが、途中で敗戦が決まって...撤退を強いられました。しかし、取り残された兵たちは...あ、すみません。ここで歴史の授業みたいに話しても退屈ですよね。」と言ったが、聞いていると思った相手の様子を見て、彼はこう言った。

「大丈夫ですか、ヴィオ?どうかしました?」と優しく声を掛けたが、相手であるヴィオは少しビクッとして、慌てて回答した。

「あっ!あの...だ、大丈夫です!」と言ったが、相手にはその回答に納得しないようだ。

「さて...周りの目を気にして、僕の話を全く頭に入らないですね。」と図星のことを言って、ヴィオと呼ばれた方は申し訳なさそうな顔をした。

それを見た相手はただ微笑んで、次のように言った。

「まあ...さっきの話をもっと重点的に言うと、ソアルとドゥナリアスは言語も文化もかなり近いですけど、戦争の影響でうちは鎖国状態...その間にはソアルも自分なりの成長を遂げて、今になっては言語以外はかなり大陸の諸国の影響が大きくて、似ている文化はまだ残りますが...もはや近いと言えなくなりました。あと...戦争のおかげでドゥナリアスのことを毛嫌いする人も今になっても少なくないです。ここはポイント!」と言って、ヴィオを見た。

「そのような国に僕たちがこれから出張することになっています。」という言葉に対して、ヴィオは周りの目を気にするより、伝わった情報に対して驚きと不安の表情が混ざった顔をした。

「その...ソアルに...スケトさんは行ったことがある...ということで合っていますか?」という問いかけにスケトと呼ばれた話の相手は表情を変えずにこう言った。

「ええ...前の仕事で出張に行ったことがあります。というか今回もその同じ場所に行くことになっていますよ。」という内容にヴィオは思わず眉をひそめた。

「同じ場所...ですか?」

「ええ...まあ、任務の内容はかなり変わったのですけど、場所は同じです。」


スケトさんが行った場所...

そこなら、この人の過去について何かもっと分かるかもと心の中に思ったヴィオだったが、そう思っている途中にスケトの声が彼女の考えていることを切らせた。


「では...買い出しを始めましょうか?」という質問にヴィオは不意打ちに「ふぇ?」という声が出た。

それを聞いたスケトはその奇声には何もツッコまずに話の続きをした。

「ここの城下町では、王国の各地から様々な品物が集まって、一番揃っている場所です。競争率も高いので、かなりの値打ちで買えます。」と聞いたヴィオは一つの疑問が浮かべた。

「で...でも、今回の出張では距離が遠いじゃないですか?わざわざここでアイテムを買うのはあまり効率的じゃないというか...」とヴィオが自分の意見を言ったのは良いが、ちょっとまとまらない感じもある。

その質問を聞いたスケトはそれに対して、説明で回答することにした。

「あ...今回の移動手段は徒歩とか馬車とかじゃないので...アイテムはある程度ここから買って、持って行っても問題ありません。もちろん何でも買うと言うわけじゃないですよ。今回の出張に備えるための必要品がメインになっています。あともう一つの理由は...ダンジョンの近くに売ってあるアイテムの値段は相場より高いです。例え同じ性能のアイテムでも物流が簡単に届いていない場所では値上がりがよくある話です。その便利性で高い値段で買う人は普通にいますが、できるだけここで準備できるアイテムを買っておくのはコストも抑えられるし...品切れとかもし現地には売っていないならもっと困ります。そのための準備です。これは...あることわざで言うと、『備えあれば憂いなし』...です。現地調達はできるだけ控えて、事前に多めで準備しても途中で切れてしまうよりはマシということです。ダンジョン内での必要なアイテムの不足は本当にどれだけ危険というのはすでに分かると思いますが...。」とここでスケトは真剣な顔でヴィオを見つめた。ヴィオの顔はその危険性が理解できたという表情を示したことを確認してから、いつもの顔に戻り、話を続けた。

「まあ...それは携帯できるアイテムに限りますけどね。さすがに重たいモノは本当に必要がなければ現地調達した方がいいかと思います。あとはその現地にしかない限定アイテムとか装備とかはそこで買うしかないので、仕方ありません。予算の節約のためにもここでまずは買えるモノを探しましょう。」と言いながら、一つの店に覗いたスケト。

そこで、スケトはヴィオに向けて、何か思い出そうとしたことを口にした。


「あ、そうそう。一つ言い忘れました。僕たちが行く予定の現地はのダンジョンです。そのためにある対策がより必要になっています。」

「対策...ですか?」と話について行けないヴィオだが、ここでスケトはこう答えた。


「はい...対策です。」

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