第25話 黒曜石を取りに行こう(with明日乃、一角、真望)
【異世界生活 11日目 7:30】
「お、もう起きたのか? もう少し寝ていていいんだぞ」
俺は起きてきた
しかも後半4時間は俺といちゃいちゃしていたから実質2時間半も寝ていないと思う。
「だって、りゅう君が一緒じゃないと熟睡できないし、りゅう君が起きているって考えたら早く起きたくなっちゃった感じ?」
というか、2人で一緒のシェルター(家)寝るのが当たり前みたいな流れ、本当にいいのか?
「昼間、こっそり他の女の子とエッチな事するのはいいけど、夜はダメ。夜は私と寝てね」
「じゃあ、今から、ちょっと
「ダメです。自然な感じで、こっそりやってください。その方が私も気が楽だって気づいたんで」
というか、こっちの世界で兎の耳が生えたせいか、性格もだいぶ変わった気がする。
俺はしみじみそんなことを考える。
「干し肉、もうなくなったのか?」
俺は
「今日、黒曜石探しに行くでしょ? その時の非常食で最後だよ」
「もう一匹クマが出るといいわね。そろそろクマの頭の案山子を隠す?」
「まあ、今日、黒曜石を探しに行く時になにか食べられそうな獲物がいたら仕留めよう」
「そういえば、黒曜石と言えば、秘書子さんに聞いたら少量でいいなら西に2時間くらい海沿いに歩いたところに川があって、その川岸に、川の上流、山の方から流れてきた黒曜石があるらしいからそれを拾いに行ったらどうかって提案があったよ。前に教えてもらった山の方は片道で半日以上、泊りがけでいかないと無理なくらい遠いところらしいから」
俺はそう言って近場の探索を勧める。
「そうだな。日用品くらいの黒曜石ならそれでいいかもしれないな。そして、仲間が7人だったか揃ったら改めてそこまで行ってみればいい」
東の川か。いつも行っている川は北の川、泉から流れ出している川だからまた、別の水源、東の山から流れ出る川っぽいな。そして東の山には黒曜石が大量に採れるところがあると。
そんな感じで、今日は近場の河原に流れてきた黒曜石を拾いに行くことになった。
麗美さんは歩くのが面倒臭いとキャンプに留守番だ。石板に医学知識を残すという楽しみもできたみたいだしな。
とりあえず、朝食を食べて、日課の剣道の練習、というより木の槍の訓練をし、作業のための道具や荒縄、お弁当の干し肉、焼いたバナナ、そして水筒を持って出かけることにする。
参加するのは
【異世界生活 11日目 10:00】
「西に行くのは初めてだね」
出発して早々、
「そうだな、行くところといったら北の森かすぐ南の海岸くらいだったもんな。俺は少し東の海岸も歩いたけどあっちは何もなさそうだったけどな」
俺はそう言う。
「北東の方角にはもっと色々ありそうだね」
そうだろうな、山があって、反対岸があるだろうし、できれば島を一回りして、島の大きさくらいは把握したいところだ。
「お前ら、おしゃべりするのは勝手だけど、警戒は怠るなよ」
「そうだな、悪い」
俺は素直に謝る。
そのまま4人で海岸沿いを歩く。
俺と
途中、海岸が岩で阻まれたので、迂回、まあ、ゲームみたいなオートマッピング機能があるので、地図を見ながら進めば方向を見失うことも現在地もキャンプの位置も見失わないので楽といえば楽だ。
なんか、変にサバイバルなくせして、こういうところはゲームっぽいんだよな。さすが異世界転生ってやつか?
そんなことを考えつつも、地図を見ながら順調に目的地に進む。
途中、カモメっぽい鳥がいっぱいいたが、
ちなみに卵は普通に食べられるらしい。
「多分、さっきの登れなそうな岩場の上に巣があるのかもね」
結局、行きの道中では食べられそうな鳥も獣も現れず、黒曜石が流れてきていると言われる河原に到着。ここから上流に歩きながら黒曜石探しって感じかな?
【異世界生活 11日目 12:30】
「お昼だし、ご飯食べてから散策しようよ」
確かに2時間休み休みだが歩いてきたし、一度、休憩も必要だな。
河原のひらけたところに座ってみんなでお昼ご飯を食べる。焼いたバナナと干し肉だ。
「干し肉、そのまま食べると結構キツイな」
俺はそう言う。
クマ肉の独特の臭みと干したことによる臭みの倍増、かなり臭みのあるビーフジャーキーを食べている感じだ。
「ちょっと、周りを散策して山菜でも集めて料理しようか?」
「まあ、今日は黒曜石探しが目的だから、我慢しよう。夜、キャンプに帰れば火は使えるしな」
俺はそう返事する。
「干し肉はもうないけどね」
早めに黒曜石が見つかったらちょっと探索して動物や鳥を狩るのもいいかもしれないな。
一時間ほど昼食をとりながら休憩し、河原の探索を始める。下流の川のせいか川幅もあり、歩いて渡るのは無理そうな川だ。とりあえず、対岸は無視してこちら側の岸だけを探索することにした。
「橋とかも作らないと自由に島を歩けないかもね」
「将来的にはそう言う作業も必要になるかもな。もしくはいかだを作って海岸沿いを移動するとかも考えないといけないかな? まあ、竹がいっぱいあるから、いかだも比較的簡単にできそうだけどな」
俺はそんな話をしながら河原を歩き、
とりあえず、鑑定スキルで大ざっぱに探してみるが、うん、無理だ。目に見える石全部に解説がついた。
とりあえず、黒っぽい石を探しながら歩く。
「
緑色のちょっと変わった石だ。鑑定すると『孔雀石』。そして解説には銅が精製できると書いてある。
「孔雀石、別名マラカイト。緑色の縞模様の鉱石で古代エジプトでは質のいい物はアクセサリーとして使われたり、加工が容易という事で銅の原料として使われたりしたこともあります。現代では宝石としての価値はあまり高くなく、銅の精製にも非効率で不適、置物などに使われています」
秘書子さんが石について詳しく教えてくれる。
まあ、綺麗な石くらいの扱いか。それより、銅が精製できるのは気になるな。
「どう? すごくない?」
「
俺はそう言う。
他のメンバーにも聞こえていたみたいで、
特に
別に、銅がすぐに作れるようになるわけじゃないんだけどな。
しかも秘書子さんにさらに聞くと、ここにマラカイトがあるということは上流に銅鉱石の鉱脈がある可能性があるとのことで、一応将来の為に銅鉱石の鉱脈をマップにマークしてもらった。
あと、川底を漁れば、少量の砂金や砂鉄も取れるそうだ。ちょっと魅力的な話だ。
そんな感じで秘書子さんと話をしていると、仲間たちはどんどん先に言ってしまい、
とりあえずは、黒曜石だな。
「りゅう君あったよ。黒曜石っぽいよ」
俺も急いで
「これだよ」
「で、でかいな」
川に流されてきたからか丸い球状なのだがなんかでかい。バスケットボールを一回り大きくしたくらい? 一人で微妙に持てるか持てないかってくらいの大きさだ。持ち上げてみると、持てないことはないが軽く10キロは越えてるな。
「とりあえず、割って細かくして持ち帰るか」
「まあ、細かくし過ぎても用途に困りそうだから4当分できたら理想的だな」
俺はそう言う。
「
「そうだな。それが一番早そうだ」
俺は
ガコンと大きな音がして2つに割れる。細かい破片も出た感じだ。
「どうだ?」
俺は落ちている破片を見てみる。いい感じで割れている。まるでガラス瓶を割ったみたいな鋭さがある。
「おおっ、これならカミソリとしても使えそうだね」
黒曜石を一番欲しがっていた
「危ないから、先を触るなよ」
俺が注意するが、
「痛っ!」
「ほら言わんこっちゃない」
俺は呆れてそう言うと、
「つぅ!!」
「悪い、痛かったか?」
俺がそう言うと、
「もう、傷ぐらい自分で舐められるって」
そう言って、一度躊躇してから自分の人差し指を舐める
「包帯とかないのが厳しいな」
俺はそう言う。
「そうだね。麻布とか作れるようになったら包帯もできるし、布作りは早急な課題だね」
ん? なんかあったのか?
そんな感じで、黒曜石が1:2くらいで割れたので、大きい方をもう一回投げて3等分になった。
とりあえず、一番大きい石を俺が運び、次を
「黒曜石、私にも少し分けてくれよ。矢の
「とりあえず、
俺は気になって聞いてみる。
「薄皮切れただけだし、少し舐めておけば治るわ」
まあ、大丈夫そうだな。
とりあえず、
銅が含まれた鉱石と上流に銅の鉱脈があるのが分ったのは大きいな。将来的には銅のお鍋とか作れるかもしれない。
帰る途中、日が暮れたせいもあるのかイノシシがエサを探して森から出てきたようで遭遇、
というか、黒曜石投げちゃいました。ごめんなさい。
とりあえず、俺がイノシシの見張りをして、
待っている間に血抜きだけ済ませて、3人が返ってきたら、イノシシを木の棒に縛り付けて俺と
イノシシ肉をゲットして何故かホクホク顔の
キャンプに着く頃には18時近くなっていて、陽も沈む寸前になってしまった。
とりあえず、
脂身を焼きながらみんなで手分けして赤身を薄切りにして海水につけまくる。
また干し肉ができてバナナ生活から遠ざかることができそうだ。
そして、黒曜石も手に入ったし、少しだけ道具の質も上がりそうだな。
今日行ったところに行けば黒曜石ももう少しありそうだし、また無くなったら補充に行こう。
次話に続く。
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