第24話 麻布作りと真望のこだわり(with真望)
【異世界生活 11日目 8:00】
「おはよう、
「うん、おはよ、りゅう君」
新婚生活ってこんな感じなのかな? 高校3年生で新婚生活を味わうとは予想もしなかったけど。
そして、もう一人の俺、元の世界で元気にやっているだろうか?
分霊転生? 俺の魂の10分の9は元の世界で暮らしている。なんか想像もつかないし、寂しい気持ちが沸くし、そして諦めもつく。俺はここで生きないとと。
そんなことを考えながらまったりするが、みんな起きてくるので、いちゃいちゃするわけにもいかず、2人でもそもそと起きてシェルター(家)から這い出す。
「おはよう、新婚さん、今日も熱々だな」
嫌味ったらしく、
とりあえず、雑談しながら、朝食の準備。干し肉が残り少ないらしい。
「またバナナ生活に逆戻りかぁ」
「魚捕りはちょっと、その日の分とるのがやっとって感じだ。水中眼鏡なしで潜るのは目が痛いし効率も悪いし」
やっぱり素潜りは水中眼鏡あるとないとでは雲泥の差だよな。
「竹もあるから釣とかもいいかもしれないな。針は竹を削ってとがらせれば何とかなるだろうし、みんなで釣れば効率もあがるかも?」
俺がそう言う。
「あとは、貝とかもいいんじゃない?」
確かに岩場で貝やカニとかはサバイバルの定番だよな。
「明日は、遠出するんだろ? その時に鳥でもいたら、私が矢で捕まえるよ」
「そう言えば今日明日の予定はどうする?」
俺は今日のスケジュール確認の意味も込めてそう声をかける。
「今日は、食後、いつもの剣道の練習をしたら、川に行って水に浸けた麻の様子見る感じ? 良さそうだったらそこで加工しちゃって、キャンプで繊維を干す感じかな? あと、帰りに山菜とかキノコとか取って帰りたいな」
「私は、キャンプの番をしておこう。動くのは好きじゃないんだよ」
駄目姉の麗美さんがそう言う。
「私は魚捕りだな。で、明日は黒曜石を探しに行くついでに鳥を仕留めたい」
「結局、土器が乾いて焼けるようになるまで、やれることが限られるからな」
俺はそう言って、今できることを色々提案する。やはりやることは麻布作りと黒曜石でナイフやカミソリ作りかな。麻は繊維を取って糸にするまでも色々手間がかかるみたいだしな。
雑談をしながら朝食もでき、みんなで食べながら作戦会議、
俺と
ちなみに
【異世界生活 11日目 10:00】
とりあえず、麻の繊維を取り出す作業のことも考えて石包丁や一応石斧、竹なども必要になるかもしれないので石のナタ、それと水を汲むための竹の水筒。俺が今準備できそうなものを全てまとめてかごに入れる。
なんか、
俺、
「すごい、本当に麻が生えてる。亜麻かな? 比較的扱いやすそうな麻でよかったわ」
そしてもう少し先に行くと川があって、少し流れが淀んだところに、
俺も麻布作りはよく分からないので、神様の秘書でアドバイサーの秘書子さんに色々聞いてみる。
「麻の表面のたんぱく質の腐食は良く進んでいるようです。次はこれを干して乾燥させて、叩くことで繊維以外の不要なものを落とします」
秘書子さんがそう言う。あれ?
「
俺はそう言って
「え? そうなんだ。お父さんのサバイバル本には皮を剥いでから干すみたいに書いたあったから。多分、お父さんの場合、布というより麻紐が作りたかったみたいだからちょっと違うのかもね」
「まあ、作り方も色々あるのかもな。とりあえず、水に浸けた麻を回収して、もう一回同じように新しい麻の茎を水に浸けておこうか」
俺はそう言う。
「そうだね。女の子も増えたし、麻布の量産とかできたらいいもんね。そういえば、女の子しか来ないね。男の子って来ないのかな?」
そう言えば男は俺しかいないって言ってなかったな。そろそろバレるだろうし言うしかないか。
「その事なんだけど、秘書子さんの話だと、男はまずは俺しか転生されないらしい。神様曰く、男が二人以上いると女性を巡って喧嘩になるから、だそうだ。次の世代に代替わりする時には男も増やすらしいぞ。近親相姦するわけにはいかないしな」
俺はそう説明する。
「そっか、りゅう君しか男の子いないんだ。それだと、
確かに、世紀末にいそうなモヒカン野郎とか「うえ~い」とか言いそうなパリピなヤンキーとか来たら、まさに世紀末サバイバルになってしまうもんな。そういう面では神様に感謝した方がいいのかもしれない。ただ、
俺はそんな悩みを顔に出していたのか、
「もう、浮気はダメとか言えない感じだね。できればりゅう君には私のことが一番好きでいて欲しい。他の女の子には我儘かもしれないけどね」
「わ、私は、神様にお願いされたら、仕方なく、
こいつ、彼氏いない歴=年齢で処女のくせして言いたい放題だな。
まあ、ここでそこを指摘しても悪い方向にしか進まなそうだから、俺もその意見に賛成して、
とりあえず、本妻は
「まあ、サバイバル生活が落ち着かなければ子孫とか子作りとか考える段階じゃないし、後々考えよう。な? 俺達まだ、高校生なんだし」
俺はそう言ってその場をごまかす。第一、高校3年生で子持ちとか想像もできないもんな。元の世界じゃ。
「無人島じゃ高校生とか関係ないけどね。学校ないし」
「学校がないといえば、私たちもお祖父ちゃんやお祖母ちゃんになっちゃうわけだし、私たちの知識が子孫に伝わらないのってこの世界の損失だよね? 特に麗美さんのお医学知識とか? そういうのって文章として残しておいた方がいいよね? 石板とかかな? インクとか紙ができれば一番いいけど」
まあ、秘書子さんを子孫に引き継げれば特に問題なさそうだけどな。ただ、秘書子さんがそれをずっと続けてくれる確証もない。
「なんか、麗美さん、キャンプから動くの嫌みたいだし、土器が上手く作れるようになったら粘土板とかで石板作って医学の知識とか学校で教わることとかまとめるといいかもな」
俺はそういう。麗美さんは基本引きこもりの駄目姉だ。ただ、医学以外には興味ないけど、医学の事なら必死になってくれそうな気がする。ついでに医学以外の教科書みたいなものも作ってくれたら嬉しいし。
それに俺が秘書子さんから色々聞いて、知識として石板に残すのもいいかもしれない。
「そしたら、帰りに粘土と砂も少し持って帰ろうよ。
俺もそれに賛成して、とりあえず、キャンプに麻を持ち帰りやすいようにまとめて、新しい麻も刈り取り水に浸ける。
それと、時間はかかるが、地面に麻を寝かせて腐らせる方法もあるらしいのでそれも試してみる。1カ月かかるらしいが、このやり方だと川の水質が悪くなる危険性が回避できるらしい。麻を大量生産するってことになったら川や海の汚れとかも心配だもんな。
そんな感じで、腐らせた麻の繊維をキャンプに持ち替える。帰る途中で、粘土と砂も少し回収して俺のかごに入れる。
そして、
結構大荷物になってきたな。麻の繊維を茎のまんま持ち帰る予定はなかったからな。
「麻の茎をキャンプで干してから山菜取りした方がいいかもね。荷物多すぎて動けなくなりそうだし」
そういうことで、そのまま、キャンプに帰り、荒縄を木の間に張って麻の茎を干していく、麻の茎が長いので干すのが面倒臭いな。
暇そうにしていた
「それはいいわね。私の医学知識も、今の状態ではなんの役にもたたないけど、何百年もたって子孫たちに知識があれば役立つ時が来るかもしれないものね」
そう言って、
やっぱり
早速、石板づくりを始めてくれるそうなので麻の茎を干し終わった後、粘土と砂を
気が付くとお昼を過ぎていた。
【異世界生活 11日目 15:00】
お昼ご飯が終わり、午後は山菜などを集めにもう一度森に入る。
「そういえば、麻ってどのくらい乾かしておけばいいんだろ?」
俺はさっき干した麻が気になって秘書子さんに聞いてみる。
「機械乾燥なら1日もあれば。天日による乾燥だと諸説あって分かりません。天候や気温、地域によって違うので一概には説明できません」
秘書子さんがそう言う。
秘書子さんの知識はどこから来ているんだ? 幅広い知識を持っているけど、幅広過ぎて、穴も多い感じか?
しょうがないので、
「キャンプに帰ったら、麻の何割か、皮剥いでみてもいいかな? 繊維にしてから干すのと干してから皮剥ぐのとどっちが効率的かとかもみてみたいし」
「そうだな。色々試してみるといいかもしれない。あと天日干しだけでなく、たき火で燻して機械乾燥みたいに早く乾かすのもありかもしれないな」
俺がそう言う。
「というか、土器もたき火で乾燥させれば早くない?」
「あ」
俺と
言われてみればそうだ。
「ま、まあ、急に乾燥させると、土器が割れちゃうかもしれないからさ」
俺はなんとなく自己弁護する。
「そ、そうね、分からないことはやらない方が良いかもしれないし」
本の知識に頼り過ぎるのもいけないかもしれないな。
そんな感じで雑談しながら食べられそうな山菜を取っていく。
そんな中、
「
俺は気になって聞いてみる。
「レモンの苗があったから持ち帰って育てるの。料理とかにも使えるでしょ?」
「ほかにもなにかあるんだろ? 美容か、美容関係か?」
俺は
「う、うるさいわね。レモンは髪の脱色に良いのよ。黒髪に戻るのが嫌なの。脱色したいの。あと、お砂糖があればお砂糖と水と混ぜてブラジリアンワックスができるし」
ブラジリアンワックス? ああ、脱毛で流行ったあれか。
女の子は色々大変そうなのでそれ以上聞かないことにする。
ちなみに髪の色に関しては、後から分かったことだが、神様がサービスで脱色不要の金髪にしてくれたらしい。意味不明だが。まあ、
とりあえず、
あと、お砂糖、俺も欲しいな。
とりあえず、
そのあと、キャンプに帰り、
これで少しでも早く乾燥すればいいけど。まあ、建物が作れるようになって屋内で本格的な乾燥ができないと焼け石に水っぽいけどな。イメージ的にはストーブの上で洗濯物を乾かす感じ?
あと、麗美さんが楽しそうに医学知識の石板づくりを始めていた。作り方は土器と一緒の感じで
とりあえず、今日は、
次話に続く。
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