第8話 一角《いずみ》の家と荒縄を作ろう。あと柵も。
サバイバル生活2日目。
とりあえず、3人で昨日やったようなヤシの実の収穫とバナナの収穫をする。
冬になったらこういう食料の確保も難しくなるのかな? 保存食とか動物の肉を乾燥させたものとかも作らないとダメなのかもしれないな。
俺はそんなことを考えながら、食料としてバナナ、水としてヤシの実ジュースを確保する。
運動神経抜群の
行っちゃ悪いが、
そして、バナナとヤシの実の確保が終わり、遅い朝食を始める。昨日のたき火を消さないように維持していたので火おこしをもう一度しないでいいのは助かる。
食後、3人で身近なところから枯草を集める。周りが草原なので、枯草はいくらでもあった。
「とりあえず、この枯草で荒縄を編めばいいか?」
俺は
「そうだね。でもその前に、石包丁作らない? 黒曜石じゃなくていいから、普通の石で刃物作るの。枯草集めるときも手が痛かったし、りゅう君も
「石包丁? 作り方は分かるのか?」
「多分ね。本で読んだ知識だから本当に使えるかは分からないけど」
多分、これはお父さんのサバイバル本知識じゃないんだろうな。
「まあ、だめもとでもやってみよう。少なくとも、手で草や木をちぎるよりはマシだろうし。作り方を教えてくれ」
俺は
「えっと、まずはなるべく平で薄くて固そうな石を見つける。小判みたいな形か半月型がいいかな? で、手で持つ方の反対側を、別の平らな石で
「なるほど」
俺もマネをして、薄くて平らな楕円形の少し大きめの石を拾い、
「本当は石に二つ穴を開けて指を通すような紐もつけたいんだけどね。穴開けるのが難しそうだから今回はいいかな?」
それから黙々と石を
「これは時間がかかりそうだな。
俺はそういう。
こういう単純作業や肉体労働は俺や
「いや、私は器用だぞ」
「まあ、そこらへんは任すよ。得意な方をやってくれ」
俺は
そうして、俺と
とんとんとんとん
俺が石をひたすら研いでいると、枯草を木の棒で叩く音。
「なんだ、
俺は慌てて
「うん、編む前に、枯草の茎を柔らかくほぐさないといけないからね。まあ、藁と違うから要らない作業かもしれないけど」
「こんな感じでいいのか?」
俺は
黙々と枯草を叩く。葉っぱの部分はいいが、茎の部分は固いので確かのこの作業は必要かもしれない。
そんな感じで黙々と叩いていると
「柔らかくなってきたらもういいかな?」
「俺が枯草を叩くから、それを
少し離れたところで
二つに束ねた枯草をねじり、こよりのようにして、2本の束を撒きつけるように1本にしていく。なるほど、同じ方向にねじることでお互い巻き付くのか。
そして枯草が短くなってくると新しい枯草をつぎ足しねじり、また巻き付ける。なるほど。こうすることで永遠に長くできるわけか。昨日の木の皮で作った紐より便利そうだな。
俺は枯草を叩きながら、
「おい、
突然、
「
「うん、いい感じだね。あとは使いやすいように、手が痛くならないように、持つところを丸く削って出来上がりかな」
そして、
「あ、こら、俺が叩いていた枯草だぞ」
俺は抗議する。石包丁で結構綺麗に枯草を切られてしまった。
「ね、結構、使えそうでしょ?」
「あと、似たような作り方で、石斧とかも作るといいかも? もっと大きくて平らな石をとがらせて、棒に縄でくくり付ける感じ? 竹とか切り倒すのにも使えるだろうし」
「そう言えば、竹があったとしても、ナイフ、というかのこぎりがないと加工とかできないんじゃないか?」
俺は気づいたことを言う。
「そうなんだよね。竹って結構硬いから、ナイフでも加工するのが難しいっぽい? そこは石斧をうまく使ったり、石包丁で根気よく切れ目を入れたりして切る感じ? 結構時間かかりそうだよね」
「まあ、竹の筒ができれば、水も運べるし、鍋代わりに、少量ずつだがお湯を沸かせるようになるし、竹はあれば結構有用だろ?」
俺はそういう。
「うん、まあ、ね。ただし、思う通りに切れれば。の話だけど」
「まあ、そこは時間をかけて作業すればなんとかなるんじゃないか?」
俺はそう言って、
「そうだね。やれるだけやってみようね」
ひたすら石を
ああ、でもこれなら、石の重さを利用して、綺麗には切れないが竹を切り倒すことぐらいはできるかもしれないな。俺は石斧の石の部分を作り終わりそう思った。
その後は3人で試行錯誤しながら石斧に柄を付けた。2本の丈夫そうな木の柄で挟んで荒縄で縛り付け、持つところも荒縄を巻いてそれっぽい物に仕上がった。石斧の石の部分もぐらぐらしないいい感じに縛り付けられた気がする。
そんな作業をして、時間はお昼になった。
お昼も焼きバナナだ。これで4食連続バナナだ。
「なんかこのペースだと今日は竹と川探しは無理かな?」
「そうだな。昨日襲ってきたオオカミの事を考えると、今日中に柵を作る方を優先したいな」
俺はそう答える。
それに、川が見つかったとしても、水を運ぶ手段がない。竹を見つけて水筒を作るにしても今からだと両方やるには時間が無いしな。
「お水で体流したかったな」
「まあ、明日、早めに川と竹を探しに行こう。それと海とかも探索したいな。そろそろバナナも飽きてきたし、魚が食いたい」
俺はそう言って
「そうだね。魚がダメでも貝とかとれるかもしれないし、時間があったら海に行きたいね」
そんな感じで次の予定を話し合いながら昼食の焼きバナナを食べ終える。
「じゃあ、
俺はそう言って石斧片手に森の方に進む。石斧ができたから木材集めもはかどりそうな気がする。
俺は森と草原のベースキャンプを何往復かして、
「なんとかなりそうだな」
順調に
「じゃあ、次は、私が材料集めに言ってこよう。まだまだ、柵を完成させるには木の枝が足りないだろ?」
そう言って、俺と交代で
そして俺は
「私が木を押さえておくから、りゅう君、石で上からたたいて打ち込んで」
そう言って、
「
俺は石斧の有用性に満足して
「この後、柵の横の棒を組むときには、荒縄も大活躍すると思うよ」
「
俺はつくづくそう思い、感謝も込めてそう言う。
「それって、彼女として? それとも便利な知恵袋ってこと?」
「もちろん、両方だ」
俺はそう言って
「
そして、
そんなことを考えながら柵を作り、
次の話に続く。
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