第40話 西域に行った二人
「その件なら、考えがある。キナサド、この剣を持ってサントスまで行ってくれないか!?」
「キサナドです。これは、サントスの護り神の【テセウス】でしょう。なぜ、あなたが持っているのですか!?」
「おばあ様に持たせられたんだ。」
アウグステは笑って言った。
祖母のイサベルには、全てわかっていた事かも知れなかった。
「出来れば、アストリッドと二人で」
「それでどうなるんです!?」
「帰ってきたら、お前が、エル・ロイル家の次期当主だ」
三賢人は勿論、キサナドはビックリした。
「とにかく、【テセウス】を早く、サントスへ戻してこいって!!アストリッドを忘れるなよ!!」
アウグステは、アストリッドを乾かしてやると、荷物の中から、制服を引っ張り出して着替えてくるように促した。
「早く、着替えてこい。アストリッド」
「うん!!」
アストリッドは、先程のアルフォンソにされたことは、もう忘れてキサナドと西域に行けることを喜んでいる。
アウグステは、アストリッドの着替えが終わると、キサナドに【西域の守護剣テセウス】を渡した。
そうして、2人を風で飛ばして強い東風に乗せてしまった。
その鮮やかな魔法に、三賢人は見惚れていた。
「やはり、ロイル家を継ぐのは、アウグステ様でしょう。」
ティマーク大神官が、言った。
「いえ、家にはモーリスがいますし……」
ユリウスは、申し訳無さそうに反論する。
「モーリス兄様には、ジェダイン・オアシスのキナサドのお姉様を娶って頂きます。」
「モーリスが納得すると思うか!?アウグステ!!」
「あそこは、エル・ロイル家と血が近しいのでしょう!? 銀色の瞳の人が何人かいました。十分に兄様のコンプレックスを刺激してくれるでしょう」
「しかし、キサナドにロイル家を渡すことは、どういうことだね!?」
「また、近親婚で、血が濃くなりつつあります。それの回避ですよ」
「キサナドは、将来の三賢人候補だぞ、ロイル家の当主と三賢人は兼任できまいて」
ティマーク大神官は、アウグステの言う事が分からなかった。
ユリウス神官はハラハラして、この様子を見守っていた。
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