episode.1 白い悪夢!?ホワイトアウト
「Oh my god……」
白。しろ。SHIRO。
どこまでも白い視界に、思わず母国語ではない言語が出る。
田んぼに囲まれた一本道。通勤ラッシュの朝、大通りは混雑するため、通勤にはいつもこの人通りの少ない道を選んで走っている。
が、この日はその選択を後悔した。
え? 道、どこ?
てか、ここどこ?
見えない。そこに道があるはずなのに。
視界に入る色は一色。オンリー白。この道に入った瞬間は見えていた、道路の境目も見えない。当然、対向車も見えない。
申し遅れました。いきなり生命の危機を迎えていますが、わたしは
「これがいわゆるホワイトアウト!」
恐怖をやわらげるため、元気に宣言してみる。当然やわらがない。だって、これで亡くなった人だっているんだもの。
家出るとき、天気よかったのになあ。
いや、今だってそこまで激しく降っているわけではないのだ。田んぼに積もったパウダリーな雪が風で巻き上げられ、スノードームの密度100%バージョンみたいになっているだけだ。
わたしはかろうじて見える、車の
――雪国は天候が一瞬にして変わる。
ばっちゃんが昔からそう言ってたっけ。
そのとき、わたしは驚愕の事実に気がついてしまう。
―――わたしの車も、白だ。
この恐怖が、わかるだろうか。
白×白は白。見えるわけがない。背後からわたしよりも速いスピードで車が来たら?前方から来た対向車が少しでも車線をはみ出していたら?
推しが白い車に乗っているという理由だけで、白い車を選んだ自分を心底恨む。
もうこうなったらハザードをつけて止まるしかない。
震える手でハザードに手を伸ばした、その瞬間。
サァ――っと、ふいに視界が晴れた。
風が、少し弱まったのだ。
いまだあ!!
この機を逃してはならない。わたしはアクセルをめいいっぱい踏み込む。(といっても雪道だから大したスピードじゃない)
「ふぅー」
どうにか田んぼの一本道を抜け、深呼吸。
ああ、怖かった。
でも、きっとこれはまだいい方。吹雪の時のホワイトアウトは、こんなものではない。
まだまだ冬は、始まったばかりだ。
【ゆきぐに豆知識】
~車に積んでおくべきアイテムベスト3~
①スノーブラシ……雪を払う”ブラシ”と氷を削る”スクレーパー”がついている。これで屋根に乗った大量の雪や、窓にべったり張り付いた氷を落とす。これは積んでおくべきというよりも必須。屋根の雪はきちんと落とさないとフロントガラスにズズーッと落ちてくる。たまに雪を大量に乗せて走ってる猛者がいる。
②スコップ……除雪に欠かせない。あと走行中にスタックしたとき脱出に必要。
③水(食料)……渋滞に巻き込まれたり、埋まったりして長時間車から出られなくなる可能性があるため。
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