第2話 キッカケ
私は33歳のシングルマザー。
夫とは数年前に離婚して息子が1人。
息子は14歳でバスケットボール部所属。
試合はたまに観に行っていた。
今年は例年にない程強いらしい。
バスケットボールのルールもろくにわからない私でも、だんだんと勝ち上がって地区大会、県大会となれば楽しいもので、頑張っている息子を応援したい気持ちから休みの度に試合には顔を出していた。
息子のバスケットボール部の顧問は3人いたが、みんな若い。
いつから「先生」というものが自分より年下のものになってしまったのか…考えると自分が歳を取った事を痛感して悲しくなる。
試合を観に行ってるとわかる事がある。
学校、先生によって指導の仕方が全然違うのだ。
ミスした時に大きな声で叱咤する先生。
試合中大声で指示を出す先生。
息子の顧問のうちの1人の先生はいつも笑っていた。
ミスをしても怒る事なく笑う。
笑いながら「あいつはまたやったなー」とか
点を入れれば全力で喜ぶ。
プレー中は子ども達に任せてまるで観客のように声援を送るだけ。
いつも大きな声で笑っていてバスケも好きだけど何より生徒の事が好きなんだな、と感じて
「いい先生だな」と好印象だった。
そんな先生だから生徒からも男女関係なく好かれていた。
女子生徒の中にはガチ恋らしき子もいたが、それも微笑ましく感じていた。
県大会も決勝戦。これに勝てば次は関東大会。というところまできたが、惜しくも負けてしまった。
子供たちだけでなく親までも泣いている人もいた。
子供たち、親、先生と妙な一体感が生まれていた。
そのせいか、後日キャプテンの母親が「先生と親のお疲れ様会」を企画したのだ。
お疲れ様会、と言えば響きはいいが結局は飲み会。
先生との飲み会なんて初めてだし、まず立場的に先生は親と飲んでいいものなのか?と逆に不安になってしまったが聞くとよくある話しらしい。
私が真面目すぎるのか、よくある話もヤバいな、と思っていたが流れで参加する事になってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます