第17話、願望
五月晴れの風に躯を任せて自然を感じる
妻と万博記念公園に来ている
鬱病の私には春の木漏日と緩やかな風が心を癒してくれる。水場では新緑を反射して光の波間が煌めいている
お目当ての薔薇園について嬉しそうに
スマホのシャッターをきる妻が可憐である
当たり前のことなど何もないのがこの世
諸行無常、生老病死、四苦八苦
皆いづれは死ぬ
生まれた時から死に向かって生きていく
人望のある善人も人間のクズも
癪だが死だけは平等に訪れる
せめて悪人は地獄界に堕ちて欲しいと
市井の平凡で力もない善人は思う
この世に生まれた時は不平等極まりないが死ぬ時だけは仏になる
人間界は地獄界のひとつであり
輪廻転生を繰り返す
何の為にこの苦界に生まれ出たのか
私は肉体舟を纏って喜びを享受する為
私は幸せになる為に生まれてきた
幸いにも私は1人じゃない
愛妻がいる
2人で生きていく
この苦界で喜び楽しみを見つけて
最期は嗚呼生まれてきて良かったと思える人生でありたいと願う
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