魔剣英雄軍を舞台にしたヒロインを攻略すると超スゴい特典がもらえる生前一度もクリアできなかった無理ゲーのハズレ主人公に転生したんだが、出会った女が皆ヤンデレ化してしまうのでイージーモードになりそうです!

新田竜

プロローグ―完全クリア者ゼロの無理ゲー!

 高校入学6日目に、女の子に告白された。 


 胡桃谷くるみたに 奈菜ななという名前の、姫カットの、とても優しそうな子だった。


 あれが俺の人生の絶頂期だったんだと思う。


 その翌日、俺の高校生活はたった7日で終わってしまった。


 その日、彼女に返事をするつもりだったのに!


 入学後に受けた健康診断である病気が見つかり、それからはずっと入院生活だった。


 病院にも院内学級というものがあったが、そこにいたのは俺よりもずっと年下の子ばかりで、正直張り合いがなかった。


 やっぱり同年代のやつらと、勉強したり、部活をしたりしたかったし、それにできることならあの子とデートなんかもしてみたかった。


 でも、俺の病状から考えてそんなことはできるはずがなかった。 


 だんだん院内学級にもいけなっていき、病室のベッドで一人で過ごす時間が増えていった。


 胡桃谷 奈菜はいつまで経ってもお見舞いに来てくれなかった。 


 もしかしたら、両親が面会を断っていたのかもしれない。


 それに、たとえ来てくれてもどんな顔をして会えばいいのかわからなかったが、それでも彼女に来てほしかった。


 とにかく突然ひとりぼっちになった俺は人恋しかったのだ。


 だから、俺はゲームの中に逃げ込んだ。


 そのゲームには個性的なキャラがたくさんいたから、プレイしている間だけは昔みたいに楽しい気分になれた。


 消灯時間になっても、俺は布団の中でそのゲームをし続けた。


 自分でも引くぐらいの長い時間を俺はそのゲームの中で過ごした。


 それは本当にとても楽しい時間だった。


 馬鹿らしい話だけど、そのゲームでは世界を救うと主人公はなんでも一つだけ願いを叶えもらえることになっていたから、俺は必死になってそのゲームのクリアを目指していたのかもしれない。


 このゲームをクリアできれば、この病気も治って、胡桃谷 奈菜にも会えると俺は心のどこかで結構本気で思っていたのだ。


 しかし、俺は生前、たったの一度もそのゲームをクリアすることができなかった。


 なぜなら、そのゲームは完全クリア者がほとんど存在しない、いわゆる無理ゲーだったからである。




  

 ――そして、次に目を覚ました時、信じられないことに、俺はその伝説の無理ゲーののただ中にいたのだった。

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