オークの王
梅緒連寸
⬜︎
なんか僕ひとりが悪いみたいになってますけど、それ違うと思うんですよ。
大体あれじゃないですか。善悪二元論って実質存在自体が矛盾してるじゃないですか。
でもこの・・・肩書がすべてを語って背負うじゃないですか。
これほんとやめないといけないと思うんですよ。だいたい僕、正直魔王とか呼ばれるの嫌なんですわ。
なんなんですかね魔の王って。恥ずかしいんですよ本当、でもこうあだ名ってバ~~ッと広がっちゃうし、嫌がれば嫌がるほど定着ししゃうみたいなパターンあるでしょ。
だからねえもう僕そんな大層なもんじゃないし只ちょっと力が強いだけなんですけど、まあ魔王になっちゃったんで、そこはねもうしょうがないなって受け入れることも出来なくはないんですよ。
でも限度ってあるんですよ。ね。誰にでもあるでしょ。油田だってなんかそのうち尽きるんでしょ。
なんなんですかねあの勇者とかいう・・・とにかく野蛮なんですよ。見ず知らずの僕を倒すために遠くの国から旅してやって来るんですよ。あ、倒すっていうのは要するに殺すって訳なんですけど。いやそこは間違いないです。あの人たち道中魔物をバンバン殺してますから。はい。まあついでみたいな感覚なんでしょうね。
っていうか信じられないでしょ?僕を殺すことが第一目標なんですよ。なんなんですかねそれは。僕を殺して何が変わるんでしょうかね。
世界が平和になる?いや、ならないでしょ。だって僕が生まれる前からずっと争って殺しあい続けてきた訳じゃないですか、彼らは。僕が死んだぐらいでどうもならんでしょう。いや、多少は効果あるのかな?2年ぐらいは。ね、わるい王様が死ぬおとぎ話、みんな大好きですもんね。
何だろう、気に入らないのかな。見た目が。なんか彼ら、僕らの事嫌なんでしょ?汚いとかキモイとかよく言われますもん。僕ら的にも人類ってなんかグロイんですけどね。
あー、やっぱそーなんかな。それならまだ気持ちとしては分からんこともないですよ。でもそんなの理由によく国を背負わせられるもんだなあ。なんかな、税金対策みたいなもんなのかな、あれ。
一番初めは女勇者でした。性格めっちゃきつかったですよ。もう暴れに暴れて部屋中を滅茶苦茶にするんですよ。だからみんなで必死に取り押さえて。それで急におとなしくなったかと思ったら、すごい目で僕を睨んで「殺せっ・・・!」とか言うんですよ。まあだから殺したんですけどね。
金髪のかつらを被ったオークを見かけませんでした?あれうちの従姉妹なんですけど。ええはい、その子の頭皮から剥がして作ったんです。良く出来てたでしょ。
その次がなあ、人間の中でも一番てぐらいいでっかい奴だったんじゃないですかね。化け物みたいな体格の勇者でしたよ。でかいぶん細かくするのたいへんでした。掃いても掃いても掃除が終わらなくて。
でもなんとか集め終わって、裏に池があるでしょ。あそこの魚がね最終的に一番綺麗にしてくれまして。
一番最近に来たやつはねちょっと変わってますよ。まだどう見ても子供なんです。男の子。なにやら祖国の王都で聖なる剣に選ばれたらしいんですけど。子供はかわいいですよね。肉なんかもねプリプリしてるからゴムまりみたいにポンポン跳ねるんですよ。僕が転がすたびに吸い付いてくるような感覚でした。気持ちよくなったから最後にそこの窓から外にポ~ンって蹴りだしまして。ええ。
城の周りにブワ~ってとげとげ生やしてるでしょ。でかいやつ。あの落とし穴の底から出てるやつ。あそこに上手い事引っかかったんですよ。今でもまだ形は多少残ってるんじゃないかな?なんせほんと最近の話なんで。
何の話だっけ。ああそうそうだから僕は何が言いたいかというと本当ね、勘弁してほしいんですよいきなり命を狙われるなんて。そんな権利、本当は誰にもないでしょ?
でも誰にいっても話も通じないんです。困ったものですよ。最終的にはやめてくださいってお願いをしなきゃいけないんですかね、こっちから。やだなあ~、僕なんにも悪い事してないのに。
いや、100%なんにもってことはないかもしれないけど、それでも全然やってない方でしょ?そんなたいして悪くないでしょ?え?悪いんですか?僕が?本当に?
そうなのかなあ・・・
オークの王 梅緒連寸 @violence_
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます