室内楽

⬜︎

あんたに笑って欲しいのは居心地が悪いからだ。

ここは寒すぎる。

白い息の他にあんたの冷たい視線にまで苦しめられたんじゃ溜まったもんではない。

だいたい何がそんなに気に入らないんだ？

仕事なんだ。私情なんて捨ててキリキリ働いて欲しい。

「なあ」

返事の一つすらよこさない。

よくも社会生活を遅れているもんだと思う。

こいつはきっと100のうちの出来事の10が耐えざる事だとして、残りの90まるごとを放り投げてしまう奴なんだ。

人格に何かしら欠陥があるとしか思えないね。

くそったれの甘えた男。お前の撃鉄はいつ起こされるんだ？

「おう、聞いてんのかよ」

「俺は」

やっと耳にした声がやたらと懐かしい。

最後に言葉を交わしたのは何曜日だっただろう？

「俺は。お前を…。やるのは嫌だけど。すごく嫌なんだけど。でも、お前が他の奴に落とし前を付けられるのは。そっちのほうが、すごく嫌だ」

あんたとあんたの麗しの銃口が俺に手を振る。

だからそういう事は、笑って言えよ。