ラーメン
梅緒連寸
⬜︎
「生きているだけで罪なんです」
と並々注いだおひやを悲しい目で見つめながらその人は呟いた。
その痛ましい様子に僕の心は痛む。
「僕の罪も教えてください!」と叫び、その人を殴りつけた。そんなつもりじゃなかったのにその人の首の骨は捻じ曲がって芯の柔らかい部分を傷つけてしまった。僕は全然そんなつもりじゃなかったのでやっぱりこの人は生きているだけで罪深い人だったんだと思う。
「はあ」
僕は悲しいため息をついた。悲しいため息とは地球の空気を汚さないため息のことだ。
「僕の罪は誰が教えてくれるのだろう」
ぼくは493858393919402000023811441本目のわりばしを割る。
すると突然カウンターの向こうにいる人が話しかけてきた。
「教えることは出来ない。けれど裁く事は誰にだって出来るわ。地獄の判事も元は欲深い人間よ」
その言葉を聞いた途端、僕の心は粟立った。思わず椅子を入り口のガラス戸にたたきつける。
「僕の罪を裁いてください!!」
その人はニヤリと笑った。よく見ればその人は屈強なラーメン屋の店主だった。
振りかぶったのは麺伸ばし棒。
「ああ!」
僕は、今とても、打ちのめされている。
ラーメン 梅緒連寸 @violence_
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