再来!? 朝比奈高校

第25話 大変です!!

 年も明け、春休みもすぐそこに迫った二月。三年生も自由登校となり、学内がほんの少しだけ広く見えるようになってきたころ。そんな中でも、俺たち睡眠部はいつものように部活動を行っていた。まぁ、なぜかと問われれば、まぁ……。

「間宮くーん、そこの本取ってー」

「はっ!」

「いやなんで平然といるんですか部長は」

 こんな感じである。部長はまたしても留年したのだ。それもギリギリ一単位足りないように調整して。頭がいいのか悪いのか、これじゃわかったものではない。うちの学校では単位は積立式じゃなくて毎年度リセット式だし、この調子じゃ永遠に高校生でいるつもりなんじゃないだろうか。

「えー、そりゃ部長だからじゃん」

「そうだぞ。部長がここにいて何が悪い」

 二人とも何を当たり前のことを……みたいな顔をしているが、どう考えてもおかしいだろ。普通の学校なら退学を迫られてもおかしくはない。

「だって、部長これで何回目の留年なんですか」

「こらー、レディに年を訪ねるのは失礼だぞー」

 そうも言ってられないだろうに……。まぁ、本人がいいというなら俺が口を出しすぎるのも野暮ってものだろう。

「そういえば、今日ネムちゃんは?」

「む……確かに遅いな」

 側近君が時計を見ながら答える。

いつもならとっくに部室でダラダラとしている時間のはずなんだが……。

「部長、何か聞いてません?」

「んー、特には。そのうち来るんじゃなーい?」

 そう言って、部長は手にしたばかりの本に視線を移した。信頼しているからなのか、特に心配する素振りも見せない。一人っ子の俺には理解できないものだが、姉妹ってのはどこもこういうものなのだろうか。

「……ですー!」

 どこからか妹ちゃんの声が聞こえる。ようやく来たらしい。……が。

「大変です!!」

 彼女は着くやいなや、もう一度鼓膜を突き破らん勢いの大声でそう叫んだ。

「ど、どうしたんだ?」

 あまりの大声に、部長たちはボケーっと妹ちゃんを見ることしかできてない。今話を進めることができるのは、俺しかいないわけなのだが……。

「あああ、あいつらが……あいつらが!」

 この通り、妹ちゃん自身も気が動転しまくってまともに会話ができない。目も泳いでるし、よっぽどの出来事に遭遇したらしい。

「とにかく落ち着いて……ほら、深呼吸」

「すーっ、はぁー。……はい、落ち着きました!」

「で、何があったの?」

「朝比奈高校のやつらが来ました」

「…………はい?」

 一瞬、言っている意味が理解できなかった。あいつらが? また来たって? 正直冗談だと思いたい。が、妹ちゃんの表情を見るに事実らしい。

「と、とにかく! 応接室まで来てください!」

 部長たちと視線が合う。思っていることは同じらしく、彼女たちもげんなりとした顔をしていた。

「……仕方ないなぁ」

 いつにもまして一層気だるげな一言で、俺たちは応接室までの歩を進めだした。

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