異世界戦争

@gai13

一章 訓練兵

第1話 始まり

1話 始まり


この世界から争いがなくなることはないだろう。人類の歴史からわかるようにある一つの

争いがなくなっても、また新たな敵が現れ、争いが生まれる。これが繰り返されていく。


だから、今この世界は"戦争"が起きている。


22世紀、世界にポケットから便利な道具を出してくれるネコ型ロボットは現れなかった。


それを作る暇がないほど世界では様々な問題が起きていた。


世界はまるで終わりの予兆かのように度重なる地震、津波や洪水といった自然災害、空気

や水などの環境汚染、地球温暖化といった環境問題が起き、人口が大幅に減少した。


世界はこの事態を重く受け止めていた。


世界は自分達が争っている暇はない、一つにならなければならないという考えが広がって

いった。


その考えが生まれてから時間がかかったが、2152年に条約のもとに一つになろうとしてい

た。


まだ、いざこざはあるが世界は確実に一つになり、平和へと向かっていこうとしていた。


しかし、そんな日に事件が起きた。


世界の様々な場所で地震が起き、いきなり街や、海には大陸が現れた。


突然現れた場所には俗に言う異世界人がいた。


異世界人は魔王を倒して平和になって半年後に突然移動してきた。


異世界人の街並みや文明は中世のヨーロッパという感じで、あまり進んではいなかったが

、我々と違って魔力を持ち、魔法を使っていた。


最初の10年程はお互いに牽制しあってはいたが、仲良くなろうとはしていき、魔力の研究

を進めていったが、異世界人には魔力を持たない人を蔑む傾向があり、徐々に亀裂が入り

始め、2167年に魔法による要人が集まっていた集会への攻撃により、異世界人との戦争が

始まった。


そして、現在この戦争は13年続き、2180年、俺こと"モハメド バトラー"は15歳となり、

今年から訓練兵として二年間徴兵される。


戦争が始まってから、15歳になると適性テストの結果から、分けられ俺は兵隊で陸軍に分

けられ、今ここにいる。


先ほどまでは外の広場に訓練兵を全員集め今後の流れなどの説明を受け、今後泊まること

になる場所に来ていた。


「すげえ、豪華だな」


ここは、ロッキー山脈で山に囲まれており、昔使われたホテルを寮として使い、訓練をす

る。


自然に囲まれて綺麗であり、寮も昔は観光地としてよく使われていた場所でもあり、豪華

で贅沢な感じだが、俺らはこれから地獄を見ることになるだろう。


「観光だったらどれだけよかったか」


俺は少し下を見たが、すぐに前を向き


「まっ、でも頑張っていくしかねえな」


俺は決意をして、寮の入り口へと入っていった。


ガチャ


「おっ、はじめまして、よろしくね」


俺は自分に当てはめられた部屋の中へと入ると、中にはすでにルームメイトがいた。


「俺の名前は"ベア・ベイカー"だ。ベベとでも呼んでくれ」


「俺は"モハメド バトラー"、モモでいいよ。よろしく」


ベベは金と茶の髪色のミディアムヘアーで、平均的な体つきをした感じの好青年である。


雰囲気もとてもよく、2年間の寮生活はなんとかなりそうだ。


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「なあ、モモの故郷はどこなんだ?」


「俺は、まあ、太平洋の島の一つだよ」


「ハワイとかか?」


「まあ、そんなとこだな。モモは?」


「俺はここから北の方だよ」


「北か」


その後は俺は荷解きしながら、ベベと今後起きるであろう訓練の話や趣味などのたわいの

話をしていたが、故郷の話になり、少し重い雰囲気になった。


ロッキー山脈から北の地域は異世界人の街と複合された地域の一つで、戦争後すぐに戦地

になった場所でもある。


おそらく、ベベの故郷はもう...


「ああ、だから、俺は戦うためにここに来たんだ。お互いに頑張ろうな」


ベベは俺に手を差し伸べてきた。


先ほどまでの重い空気はなくなり、


「ああ、頑張ろう。俺もこの戦いを終わらせるためにここに来たんだ」


俺はその手を強く握った。


俺の故郷は太平洋に現れた異世界人の島の一つである。


俺の親父は魔力による調査や研究のために訪れた調査員の一人であり、俺はそこで生まれ

た。


この場所は比較的に良好な関係を築けていたみたく、戦時中であっても数年は戦地にはな

らず、俺には異世界人の知り合いも多くいる。


この戦争はモモのように故郷を奪われたモノ、肉親を殺されたモノ、による憎しみの連鎖

による弔い合戦によって続いている節がある。


また、お互いがお互いを同じ人種だと思ってはおらず、おそらくこの戦争はどちらかが滅

びるまで続くだろう。


俺はどちらとも関わっているからわかる。


そんなのは間違っていると。


だから、俺はこの戦争を終わらせるためにここ来たんだ。


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この場所に集められた訓練兵は約200人、4つのグループに分けられ、俺達2人はBグループ

であった。


俺達Bグループは講堂で座学を行っていた。


それぞれの席には段ボールがあり、中を見ると教本があった。


「ぶ厚い本がいっぱいだな」


隣のベベは配られた教本を見てやや顔が引きつっていた。


それもしょうがないと思う。


そのくらい量が多く、俺も引いている。


内容としては戦車や武器についてや、戦術について、おして敵の魔法について書かれた本

が主である。


周りを見てもみんな同じような反応をしている。


「あっ」


「どうした?」


「いや、女もいて珍しいなって」


「ああ、でも俺もチラホラ見たから、他にもそれなりにいると思うぜ」


「そうか」


女の人は何も兵隊以外の道もあり、わざわざ戦地を選ぶ人は少ないって聞くが、それでも

選ぶっていうことは、そういう事なんだろう。


そんなことを考えていると、前の扉から人が入ってきた。


大きい体の傷だらけの坊主の人が入ってきた。


左目にも大きな傷があった。


この人が入ってきてから、少し緩かった雰囲気が急に変わった感じがした。


前に立ち、


「リュウイチ・コンゴウだ。主にBグループを担当する教官だ。2年間よろしく」


俺らの担当の教官は見た目が相当怖い人だ。


「それでは、始めていく」


そして、淡泊な人だ。


内容としては主に歴史のお勉強、この戦争の始まりにつてだった。


俺達はここに来る前の学校で、基本的な教養とこの戦争についての内容は行っていたため

、基本的にはただの復習であり、退屈なものである。


寝そうになったり、気が緩んでいる人もいたが、罰せられるのを見ると、そんな気も起こ

らなくなった。


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座学を終え昼食を食堂でベベととっていると。


二人が話しかけてきた


「なあなあ、次の奴ここ4人で組まないか?」


おそらく、座学の最後に午後は4人で組んで行うことを言われそれで話しかけてきたみたい

だ。


一人は顔をよく知っている。


さっきの座学で寝て、起こされた奴だ。


内容にもよるが、できれば組みたくないとは思うが、


「まあ、別にいいよな、ベベ?」


「ああ、いいと思う」


「じゃあ、よろしくな。俺がケンでこいつがビルな」


寝てた奴がケンで身長が小さく小柄である。


もう一人のビルと呼ばれているものは大きい。


俺も174とこの年ではでかいと思うが、俺よりも大きい.


だが、少し細く感じた。


二人合わせて凸凹コンビって感じである。


おそらく、俺達と同じ同部屋のコンビだろう。


「ああ、俺はモモでこっちがベベだ。よろしく」


その後は4人で色々話をした。


わかったこととして、ケンは明るく話を盛り上げる話し上手な人で、ビルは受け答えや相

づちをしたりと俺たちの話を聞き盛り上げる聞き上手な人で、いい感じのコンビであるこ

とがわかる。


とりあえず、仲はそれなりに深まり、次の訓練も何とかなるだろう。


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「それでは、午後の訓練を始めていく」


昼食を終え、しばらくして指定の場所へ行く、時間になると教官が現れた。


「グループができたものは代用者が前に来て、この腕章を受け取りこちらに集まれ。グル

ープができていない者はこちらに集まれ」


俺たちの代表者はベベとして、指示通りに指定の場所でグループごとに色の違う腕章をつ

けた。


「半分くらいかな、決まってない奴は」


「そんくらいじゃないか」


ケンとベベのいう通り、グループが決まってない人は半分くらいいた。


「そうだよな。それだったら焦って決める必要なかったな」


ケンはそう言った。


「いや、そうとも限らないんじゃないか」


しかし、俺は違うんじゃないかと思っている。


「んっ、モモなんでだ?」


「あれって要は命令だろ。それを無視したってことだろ。何かあってもおかしくないって

思うんだけど」


「確かし。でも考えすぎじゃないか?」


「まあ、そうかもな。でも、学校じゃなくて軍隊何だしあってもおかしくないとは思うけ

ど」


「気にしなくていいんじゃないか。僕たちは組めてるわけだし」


ビルの一言でこの話は終わった。


しばらくして、グループが決まっていなかった人達も決まり、全員が腕章をつけた。


「それでは午後の訓練の内容を説明したいと思う」


いよいよ午後の訓練が始まる。


「午後の訓練は登山レースだ」


ザワ…


「質問はあとで受け付ける、今は黙って聞け」


教官の一言で、全員が静かになった。


「今からお前たちにはあの山の山頂に行ってもらう」


教官は一つの山を指さした。


高さは周りの山に比べ、それほど高くは感じないが、まあ大変そうではある。


「山頂の小屋には登頂の証明として、荷物がある、それを持って下山してこい。登頂の際

には、この荷物を持って登山をしろ」


そう言うと補佐の人が横からリュックを二つ出してきた。


「約10kgだ。中にはおもりが入っているが水なども入っているため、少しは軽くなるだろ

う。小屋にも二つのリュックがあるため、合計四つのリュクを持って、登山をすることに

なる」


おもりありの登山をこれからすることになるのか。


「当然だが、中身のおもりを捨てるといったズルはなしだ。それともう一つ、今日は19時

に夕食だ。スタートは13時からだ。普通の登山ならギリギリ間に合う時間だ」


普通ならか、おもりがある状態ならギリギリってことか。


「間に合わなかったグループの夕食はコイツだ」


教官は机の上に乾パンと缶詰が出された。


質素だ。


「ちなみに食堂の夕食はカレーだ」


凄い差だ。


これだったら間に合わないといけないな。


「ちなみに、そこのグループを作らなかった4グループは他と30分遅れてのスタートとする

。何か質問は?」


一人が手を挙げた。


「何だ?」


「なぜ、30分遅れなのですか?」


「それは、指示通り動かなかった罰だ。今後もこういった指示を無視したり、できなかっ

たりした場合こういうことがある。理不尽かもしれないが、そういうものだと思え」


「わっ、わかりました」


「他には?」


誰も手を挙げず、教官は時計を確認し、


「いないようなので、30分後にスタートとする」


俺たちは4人で固まり、話し合いをした。


「でも、あれだなモモが言ったことになったな」


「ああ、でもそんなことよりも荷物どうするか?」


「俺は体力に自信あるぜ」


「同じく」


ケンとベベは自信満々に言ってきた。


「ごめん、僕はそんなに」


ビルは自身がないようだ。


「だったら、ケンとベベでいいだろ」


「だな。でも、本当にケンは持てんのか?」


「おっ、なめてんなクマちゃんは」


「クマ?」


「いや、気にしなくていいぞ。まあ、見てなって」


そう言うと、ケンはリュクを背負い、軽く走って見せた。


自信ありというだけあって、中々ものでこれなら問題なさそうだ。


ベベの方も同じように問題なさそうだ。


「まっ、小屋のを俺とビルで問題なさそうだな」


「そうだな。それじゃあ、一番目指して頑張ろうぜ」


べべのその言葉に全員が頷いた。


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13時になり、登山レースが始まり、あらかじめ作ってあったグループはスタートをした。


コースがいくつかあり、グループごとに道が分かれはしたが、同じコースならダントツに

速く、順調である。


「このままいけば俺達1位じゃないか?」


ケンは少し調子には乗っていたが、俺もそう思う。


それにしても


「そうだな。でも、順位にこだわるな」


「そりゃあ、こだわるだろ。俺たちの将来の出世に関わるんだぜ。モモちゃんだって出世

したいだろ?」


「ああ、したい」


「だったら、順位がつくものは一位を目指さないといけないぜ」


確かに言われてみればそうだな。


少し意識が足りなかったな。


「で、モモちゃんはなんでしたいんだ?」


「そりゃあ、俺の目標のためには役が必要だからな」


「へー」


「ケンはどうなんだ?」


「俺は安全に暮らすために出世したいな。下っ端は駆り出されることの方が多そうだし。

二人はどうなんだ?」


「僕もできればしたいかな」


「俺はそこまでかな。まあ、一位を目指すの同意だけど」


「ほうほう、ならさっさと行こうぜ」


ケンは大きく拳を上げて、意気揚々と進んだ。


俺達もそれに合わせて進んでいく。


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俺達は疲れはしたものの順調に登頂をし、その後の下山も問題なくでき、


「よっしゃー、一番と」


ケンが声を上げ、俺たちの登山レースは終わった。


18時20分に終わり、結構早いほうなのではあないかと思う。


「そうだなおらたち結構速いし」


そうベベが言い、ビルもその言葉に頷いていた。


俺もそう思っていたが、


「いいや、お前らは二位だ」


と教官に言われ、俺たちは呆気にとられた。


「まじかよ。もっとはええのがいたんか」


「ああ、今食堂で食事しているだろう。お前たちもリュックをそこに置いて、食事をとる

ように」


俺らは教官の言葉に返事をして、食堂に向かうことにした。


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「どんな奴らが一番かな?」


食堂に行く途中でケンが聞いてきた。


「そうだな、俺らより上なら、めちゃくちゃガタイのいい奴らじゃないか」


俺はそう答え、ベベも


「そうだろうな。高さはそんなだったけど、結構荒かったしな」


「まあ、どちらにせよ体力自慢たちなんだろうな」


そんな感じで話を進めていき、俺たちは食堂についた。


そんな俺らの想像と違って食堂の中には男女の二人組が食事をしていた。


「あのグループが一番か」


べべが少し驚いていた。


一人ガタイの良い男がいるが、もう一人は特別良いとは言えなかった。


「あれはエヴァちゃんか」


「ケン知ってんのか?」


「ああ、入寮の日にかわいいから声をかけた」


すごく不純な理由で知っていた。


「それで、他には」


「いや、すげえ嫌そうな顔されてさけられちゃったぜ」


すげえいい顔でケンが答えた。


「まっ、今日は負けだが、次はあそこの四人に勝とうぜ」


「そうだな」


べべの一言に全員が肯定をして、食事をとった。


こうして俺の長い一日が終わった。




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