第41話 ヒーローだから

「ハァハァ……」



手を繋ぎながら逃げる幼い二人





「いたぞー!!」






「もーう!!なんなのよー!!!!」


 

「急ぐでござるよ!!」





ゴーとシィだ、ずっと民間人に追われていたらしい





「ねぇ!!ゴー君、変身できるんでしょ!?やっつけてよ!!」





「民間人相手に出きるわけがなかろう!!」




流石に一般の人相手にサムライ戦士ブシャーにはなれないと否定するゴー、シィはえ~、とがっかりしてる







「…こうなったら」






くるっと民間人の方へ振り向くシィ




「!?何をするつもりでござる!!」



 



すると左斜め上の方向を指差して





「あー!!ライオンだー!!」




「そんなんで引っ掛かるわけがないでござろう!!」




いやいやとシィの嘘に手を横に振るゴー



だが








「ライオンンンンン!!!!?」




「うわあー!!たすけてくれー!!」




「逃げろー!!」






ずっこけそうになった






暫くしてようやく逃げられた二人




「ハァハァ…どうしてこんなことになっちゃったの?」



うずくまるシィ、その横で考えるゴー





「365に何かが起きているで…ござるな」






そんな二人の所へ








「おーい!!二人とも-!!」







「!!その声!!」





「イチ殿!!!!!」 





喜びに満ち溢れる二人




シィが人足先にイチの所へ駆け寄る……がイチの異変にゴーは気付いた!!





「!!待つでござるシィ殿!!」





「え?」



 


グシャアアアアアア!!!!!






上からシィの頭を押さえて地面に叩きつける少女……No.0だ






「あ……う……」






「もっと人を疑わなきゃ駄目だよ、シィちゃん♥️」






「レイ殿……?否……偽者、何をするつもりでござるか」



一瞬で見抜いたゴー、それにNo.0は指を口許に当てクスッと笑う





「んー? 食べるんだよ、この子の脳ミソ



食べて食べて完璧になるの♪」





シィの頭に手を伸ばすNo.0




ズシュッ





「…………痛いなあ、もう」




跳んできた剣先がNo.0のシィに伸ばす手を掠り血が流れ出した





「……イチ殿も裏切ったということで良いでござるか」



ゴーはサムライ戦士ブシャーに変身しイチに問いかける







「……だとしたらどうする」





手をかざし跳んだ剣を手元に戻すブシャーもといゴー







「……ヒーローが悪を斬る!!」



  


覚悟を決めたゴー、速くシィを助けなくては


 



「……そうか」




目を瞑り答えるイチ





「だが俺はもう一月の管理者ではない」






管理者としての姿を捨て、片手剣1つだけを左手に持つ







「【切り裂き魔の天晴一渡】だ」






「………はああああああああああ!!!!!」




一渡に突っ込んでいくゴー、しかし一渡はそれをひらりと交わしてしまう






「……俺の一秒先の未来を見れるシステムの前じゃ無意味だよ、ゴー」





「まだまだ!!」

   



だったら読めない速さでと剣を連続で振るゴー、だがそれも全部交わしてしまう





「な!!何故!!」





「……だから、おせーんだよ」







その時だった




パシュウウウウ




「………な」





ブシャーへの変身が急に溶け、背後から思い切り殴られて吹っ飛ばされた!!





「!? ぐああああああああああ!!!!!」





スドオオオオオン!!!!と岩にぶつかる!!







「……却下、もう変身しちゃ駄目」







No.0がサムライ戦士ブシャーへの変身を消したのだ




右手は…ニーから奪った能力の鬼の金棒に変わっている





「う…ぐ……」



 「忘れちゃったねえ、自分は一体に何に変身してたんだっけ?」






「!!」





思い出せない




確かヒーローに変身してた…はずだったのに



その力でたくさんの人を助けてきた……はずだったのに







「うう……」






倒れ混むゴーの前にしゃがみこむNo.0、そして嘲笑うように






「……君は元々【ヒーロー向いてなかったんだよ】」







「!!!!!」


   



その言葉がゴーの心を砕いた





「……【ヒーローチェンジ:システム】自分をヒーローに変身させて身体能力をあげる機能……つまりお前は【機能だよりの偽りのヒーローだったのさ】」







「………!!」



 握りこぶしを作り地面に叩きつけるゴー






「悔しいね、今まで自分の力だと思ってたヒーローへの変身が他人から作られたただのマニュアルどうりの機能だったなんて」




ゴーに手を伸ばすNo.0




「……もはやこれまで」






諦めかけたその時だった






「!!」





無数の桜の花吹雪がNo.0を覆う!!





「何!?邪魔!!」







後ろには倒れながら腕を上げて桜を操るシィがいた!!





「ハァハァ…作り物だとか機能だとか言うけどそんなの関係ないじゃん!! それでもゴー君は私を助けてくれた、ヒーローなんだから!!!!!」




 

「……!!」




その言葉に目を大きく開くゴー





 「立て-!!サムライ戦士ブシャー!!!!! ヒーローなんだろ!!



…皆を守るんじゃなかっ」






言いかけた時だった







「うっ!?」




倒れ混むシィの背中を突き刺した……一渡だ






「黙れクソガキ」






「あ……う……」


 




「!!シィ殿おおおおおおおお!!!!」




ぐりぐりと刺した剣をシィの背中で回し続ける一渡





「何を言おうが所詮お前らは作り物、今での過去だって力だって全てデータの上でしかねーんだよ」






「あ……あ……」


  


 遠くにいるゴーに手を伸ばすシィ






「ゴー……」






「シィ殿!!!!! シィ殿!!!!!」






「立って……ヒーロー」




意識が朦朧とする中…シィは完全に倒れた






「……!!」







「…【ブロッサム:システム】桜を自在に操る、まあ目眩ましにはなるか」





シィが倒れたことで目眩ましとなっていた桜は全て落ちる





 「………あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」



 

「ん?何?」






声を叫んで気合いで自分を立ち上がらせるゴー 






「変身できなくても!!……拙者はヒーロー【サムライ戦士ブシャー】!!!!!」 






その時、ゴーの右手が光り輝いて…!!






  

……………







「なーんて奇跡があると思ったか?」






「!!!!! ああああ……」




奇跡なんて無かった




ゴーの胸部を一渡は突き刺す






「なぁ、奇跡を起こさせないようにするにはどうすれば良いか知ってるか?」



  

「な……あ…」






そんな、ここはもう一度奇跡でブシャーに変身して逆転できる展開だろ…?




信じられなかった





そんな表情をしているゴーに対して一渡は耳元でニヤリと笑いながら先程の答えを伝える


    






「【奇跡が起こる0・1秒前に殺せば良い】




主人公補正なんて存在しねーんだよ!!!!!」




 「!!!!!があああああああああ!!!!!」




 片手剣をさらに深く突き刺すイチ






「あ…は……」





意識が朦朧とし…そして倒れる









「(ああ……なんて現実とは……残酷でござろうな)」


 






そして、シィとゴーは完全に倒れた




近づいて来るNo.0









「二人ともいっただきまーす♪」


        








~ その頃 ~



 「ん……」



テンの力で過去にたどり着いたジューサ




「ここは……」




 



辺りを見渡すジューサ、すると大木の下に幽霊の格好をした少女が1人と





「!!レイ!!それと僕?これは……」


 



冷静に考えるジューサ




そして思い出し






「!!そうか、ここは」









「【僕とレイが初めて出会った場所】だ!!!!







 - 続く -



















 








  

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