第31話 君がかっこよくて

 教えてあげる


【何故私が365に来たのかを】



眠るレイの耳元でニーは優しく囁いた






----------------------


私の本名は【二宮梅子(にのみやうめこ)】


何処にでもいる普通の女子高生、だけど私には好きな男の子がいた


クラス一番のイケメンである【相沢常久(あいざわつねひさ)】君、いわゆるチャラ男って奴ね



その時の私は眼鏡をかけてて内気でたくさんの女子に囲まれる常久君を壁の橋から覗いてることしか出来なかった




「(うううう~競争率高すぎぃ~!!)」




悔しい、勇気の無い自分が



~ そんな思いをしながら過ごしてた数日後の事なんだけど ~





「やばっ!?めっちゃ馬鹿じゃん!!!!!」



ある日のお昼休みの時間、私はお昼ご飯を家に忘れてしまったの




「くあぁぁあ~!! 油断した!!


それにいつもお弁当持ってきてるから忘れるわけ無いと思ってお金も持ってきてないよお~!!!!!」




自分の甘さにくしゃくしゃ頭をかきむしって机に突っ伏したわ



そんなうーうー泣いてるときに声が聞こえて




「ねえ、ねえ、大丈夫?」





「……?」




顔を上げるとそこには憧れの





「!!つ、つつつつつ常久くうううん!?」




心臓が破棄散れるかと思った



何せ自分の好きな男の子がこんな、こんな0距離にいるんだから




にしてもイケメンだ…ヤバい…たまんない…草食系




そんな私の前に常久君は自分のパンを





「よかったら食べて!! 俺お腹空いてないから!!」




「へ!?……うぇぇええ!?」



顔が沸騰した




す、すすす好きな人から贈り物おおおおお!?





「で、でも常久君のご飯が」





「良いって!! それに女の子が困ってたら見過ごせないよ!!」






ズキュウウウウウウン!!!!!🏹♥️






ああ…これが運命なのかしら…





「名前…二宮さんだよね?」




「ええ!?あっ、うん!!


梅子!!二宮梅子!!」





「二宮梅子…良い名前だね、覚えたよ!!」




そう、言いながら彼は笑顔で手を振って去っていったわ






「また話しよ!!!!!」






去る彼を見て私は現実が信じられなかった




これは夢?…またお話しよう……


うん、夢じゃない、ほっぺつねっても痛いもん






バタアアアアアアアアアアアアアアアンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!





「!?二宮あ!?」





倒れる中、先生の声が聞こえた気がしたわ





それからの日々が本当に幸せだった





「あっ!!二宮さん!!」




「あ…常久君」




信じられないでしょ? 好きな人が毎日ずっと私の所に来てくれるようになったの!!





「二宮さん!!」




「二宮さん!!」



そして



「………大好きだよ、梅子」





私達は付き合うようになった




私は神様に心から感謝した




ああどうかお願い神様……これが夢なら覚めないで






----- そして2月14日【バレンタインデー】 -----





私は一生懸命チョコレートを調べて作った


  

これが初めて男の子にあげるバレンタイン♥️



ああ…どうか受け取って、私の思い






放課後、私は可愛くラッピングしたチョコレートを両手で抱えて急ぎ足で常久君の所へ走る





「(待ってて!!常久君!!)」







----- しかし悲劇は突然に -----




「きゃっ!?」






何かが足に引っ掛かり、私はつまずき倒れた







「あーあ-、だっさいでやんのお~」




「ううう…」




転んで擦りむいた足を抑えながら顔を見上げるとそこには以下にもギャルのような女が立っていた




その女が私が転んだ時に手から離したチョコレートを見下ろす





「えー?なにー?チョコレートお?



誰にあげるつもりだったのかなあ~」




ギャルの女が右足をゆっくりあげる





「(………まさか)




いや、やめて……」






「常久君に上げようなんて……100年はええええんだよおおおおお!!!!!」





そして願いは届かず







ぐしゃあ!!!!!







「!!」





私の目の前で大好きな男の子にあげるチョコレートが知らない女の足に踏み潰された






「……いやああああああ!!!!!」





しかもその女は一度では飽きたらず、何度も何度も私のチョコレートを踏み潰す




「いやあ!!お願い!!やめて!!やめてよお!!」






「あっはっはっはっ!!!!


お前みたいな地味な眼鏡女のチョコレートどんな男だって受け取って、くんねーよ!!!!!!」







「ああ…ああ…」




もはや叫ぶ力さえ無くすまで精神的に追い詰められた……



でもそれだけじゃなかった…もっと見たくなかったものを見せられてしまったのだから





「よーやくすんだか?」





「あ♥️」




男の声が聞こえる



それを聞いたギャルの女、まるで先程までの悪魔のような表情から変わって乙女のように振り向く




こちらに歩いてくる男






「………その声…なんで」





嫌だ…見たくない…信じたくない…



でも神様は…ホントは意地悪だから…私に無理矢理見せるんだ……





うふふ♥️と猫を被ったようにギャルの女がくっつく相手、クラスの女子に大人気のチャラ男、けどいつも優しく話しかけてくれる草食系な彼







「なんで………








常久君!!!!!!!」








常久は梅子の作ったチョコレートを見る





「何これ…お前が作ったの?」





「……え」





(お前)?





常久君はそんなこと言う人じゃなかった




頭の中の常久君のイメージが硝子のヒビが入るように壊れていく




ピシッ


ピシッと







更に追い討ちをかけるようにギャルの女が常久に話し掛ける





「ね~常くん~こんなチョコレートいると思う~?」




それを聞いた常久は梅子のバラバラになったチョコレートを見ながら引いた目で見る





「うわ…キモ…ねーわ、こんなバラバラなチョコレート食える分けね~じゃん」






ピシッ



ピシッ






「…!!待ってよ!!それはそこの女が…!!」



足の痛みに必死に耐え訴える私


けどギャルの女は





「や~ん、常く~ん♥️この女私のせいにしたあ~♥️」






「は?」






 

その後、常久君の口から放たれる信じられない言葉









「【俺の彼女のせい】にしてんじゃねーよキモ二宮」






パリイイイイイイイン!!!!!





………え?





私の……思いでの常久くんは完全に砕けた







……どういう事…?






「………浮気したの?」



  


その質問に馬鹿じゃねーの!?と大笑いする常久君とギャルの女






「なーっはっはっはっ!!!!!


ったりめーだろ!!!!!そりゃあよお!!男は今付き合ってるより美人の女を見たらそっちに行くに決まってんだろーが!!!!!」






「あんたは一生地味!! どんな男も好きになってくれない地味眼鏡ってわけ⭐」






アーッハッハッハ!!!!!!!と大笑いする二人





もう限界……涙が…止まらなかった 







「……ああ……うあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!」




情けない声で無く私、もう誰も好きになれない、友達も男も入らない






バレンタインなんて…神様なんて…











大っっっっ嫌い!!!!!









「…………そう自分を責めんじゃねーよ」





「………え?」





うずくまる私の前に立つ一人の影




「………男の子?」





顔を見上げると、そこには私より背が高くて草食系とは程遠い男の子




「あーあ-、チョコレートこんなんしちまってよお」




「あ…それ」




私のバラバラになったチョコレートを拾う謎の男の子



どうやら言葉遣いも…良い方とは言えないみたい




「食いもんは…大事にしなきゃダメだろーが!!!!」





すると男の子は驚く光景に出た





「!!」





「は!?」






ビリイイイイ!!!!!




私が常久君にあげる(予定だった)チョコレートのラッピングが豪快に破かれる!!!!!




そしてバラバラになったチョコレートを1個1個落とさず無くさず掌に乗せて






「バリボリバリボリ!!!!!」





「!!!!!えええええええ!!!!!?」





「食ったああああああああ!!!!!?」



「キモ!!!!!!?」




私のチョコレート(だったものを)ひとつ残さず朽ちに入れた



それには私もギャルの女も常久君…いや、屑男もびっくり





「ちょっ…何すんのよ…それはあんたのじゃ」



怒ろうと思ったけど足の痛みでうまく怒れない



その言葉を聞いて振り向く男の子



「でもお前もうふられたろ?


だったら誰のもんでもねーじゃねーか」




「うっ」




ぐうの音もでない




「それに」




そして謎の男の子は満面の笑みで






「中々うまかったぜ!!!!!このチョコレート!!!!!」





「…………!!」




なぜかその笑顔に救われた気がした



まるで日の出のような笑顔



草食系じゃない、優男じゃない、口も悪いし




けどなんか…自分を偽ってなくて、眩しくて



つい言葉が咄嗟に出た








「……かっこいい」





「お?わかっちゃう?俺の魅力!!



いやぁ~めでたいね!!」





そんな二人だけの空間になりそうだったとき屑男が声を荒げてこっちに怒鳴ってきた





「…ってこっちの方を無視すんじゃねえええええええ!!いきなり出てきてなんなんだテメーは!!!!!」





殴りかかってくる屑男




けど男の子はひらりとかわして





「あー何者かと言えば本名思い出せねーなあ



強いて言うなら今の名前で」











「【イチ】とでも呼んでくれ」






「……イチ」




変な名前かと思った、ホントは彼の言うとおり本名ではないのだろう




けどそんなのはどうでも良かった





イチ……イチ君…







「……かっこいい」





「なんだそりゃあ!!ざけてんじゃねーぞ!!」




屑男の攻撃をなんなりと交わすイチ




「あーあとはまあ単純に気持ち込めてチョコレート作った女の気持ちを踏みにじった事




後は」




そして屑男の最後の拳避けすらせず片手で受け止める





「なっ!!」






「そーやって、優男演じてるよーなテメーの性格が気に食わねーからだな!!」






そして思い切り振り上げられたイチの拳が






「ぐげえええええええ!!!!!!!」




屑男の顔にクリーンヒットした!!






ぶっ倒れる屑男






それを見たギャルの女はドン引きの表情を浮かべながら







「…うわダサっ!!口だけかよお前!!



ねーわ!!!!!」





そう言ってギャルの女は走って逃げって行った




「ま…まて…ガクッ」



走るギャルの女に手を伸ばす屑男、しかし届かず、遂に気絶した









「あーあ-、まあそんなもんだよなあ」




それを見たイチはやれやれとため息をつき梅子の方を見る




「なあ?わかったろ?ああやって互いに表免だけで判断するとああ言う長続きしない関係になる………」




しかしイチがそう言いながら梅子を見ると





「………さない」





「え?」





まるで足の怪我など知らないようにユラアと立つ梅子



するとなんと








「ゆ る さ な い」





ニョキっと頭のてっぺんから鬼のような角が2本生えてきたのだ!!





「……おいおいマジかよ💧」




予想外の事に驚くイチ





角がバチバチと怒りの電気を為、更にはどっから出てきたか金棒を握る閉めている!!






そして





  



「……うなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」







「!?ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」





ギャルの女目掛けて猛スピードで突っ込み金棒をブン回した!!!!!







「…………💧」




それを見て呆気に取られたイチ





「……まさかあいつだったなんてなあ








【新しい2月の管理者】」






そしてイチの元へ猛スピードで戻ってくる





「ひえっ!?」





すると2月の管理者に覚醒した梅子の瞳はきゅるるるーんと恋する乙女の顔になり両手を握りしめてイチを見つめる







「イッちゃ~ん♥️」





「イッちゃん!!!!!!?」




その言葉にゾクッとするイチ


しかし梅子は関係無しにイチの腕にくっつき頬をすりすり付ける





「何処までも一緒に行くう~♥️♥️♥️♥️♥️」





「あー、うん、…管理者になったからにはもう【365】に連れてかなければ行かねーからな(こええ…💧)」




ぎゅうううとくっつく




「うふふふふ~♥️しゅきい~♥️♥️♥️♥️♥️♥️」







----- そして今に至る -----






「……そして私はイッちゃんと一緒に365に行ってジューサと出会い、【ニー】っていう名前を与えられたの」




寝ているレイに聞かせるニー、レイが起きてる時よりとても素直だ





「…なんてね、こんなのあんたが寝てる時に話すなんてズルいよね……素直じゃ…ないよね」




たははと指で頬をポリポリするニー、しかしレイは






「うーん……ううん…」



起きているのか寝相なのか首を横にふる






「正直に…話してくれて…嬉しかったでしゅ…すぅうう」





「………!!」






ニーの顔が真っ赤になる





「ま!?まままままさか起きてる!?ねえ、起きてるでしょ!? 目をあけろお!!!!」




ニーがレイを揺さぶろうとした時だった







ガコオン!!






「ひゃっ!?」




突然眩しい光が降り注ぐ!!




その光の中に立っていた影




それはふふふと微笑み







「大分仲良くなれたみたいだね」





ジューサの姿が現れた






扉が開かれたのだ





その言葉に照れたニーはそっぽを向きながら




「……うるさいっ、ホントにやり方があれなんだから」







「……………」









「じゃあもう一晩しておいで」




再び扉を閉めようとするジューサ





「ああ!!嘘です!!仲良くなれました!!ごめんなさあああああい!!!!!」






ニーとレイは無事に小屋から出れたのだった



ついでに本物の二億もジューサに返した(偉い)







      ~ 翌日 ~




レイとニーは二人でカフェでコーヒーを飲んでいた 





「ふう、今日もこの一杯が欠かせないですねえ」



「そうねえ~」





二人で一緒にコーヒーを飲めるぐらいは仲良くなれた気がする




そんな中昨日の事を思い出したのかニーはコーヒーを啜りながらレイをジト目で見る…





「…………」




「?なんですか?」





きょとんと首を傾げるレイ





「あ…あのさっ!!」




赤面しながらそっぽを向き伝える





「その…昨日の事……あんまり気にしないでね…」



もじもじと伝えるニー、しかしレイは






「昨日? なんか言われましたっけ?」





?と頭に浮かべながらコーヒーを飲むレイ






「……………」






「……………💢💢💢💢💢」




ブチッとこん棒を出しブン回す!!






「馬鹿ああああああああ!!!!!


やっぱりあんたなんかと仲良くならないわよおおおおおおおおお!!!!!」





「ひゃあああああ!!!!!?ニーさん落ち着いてくださああああい!!!!!」





ひえええと逃げるレイとこん棒を振り回して追いかけるニーを奥から見てたジューサとイチ



フムとジューサは考える




「…やはりまた小屋に閉じ込めるしか(前よりは仲良くなれてると思うけど)」




「!!閉じ込めるって何したん!!!!?」




イチには知らない事情でしたとさ⭐




  - 続く -





















































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