眠気はすぐに吹っ飛んだ
赤猫
君のせいだ
五限ほどに眠い時間は存在しないと断言しようと思う。
毎回毎回隣の男子は見た目はチャラいくせに真面目にノートをとっている。
私はその姿を見習う…なんてことはなく、数学の教科書を立てて机に突っ伏した。
数学を担当している先生は理解してテストでしっかり点数を取れば何も言わない人だからこの時間は私の睡眠時間になっている。
「ちょっと!」
ゆさゆさと私の肩を揺らすのは隣の席の男の子。
私は彼の方を気だるい瞳で見た。
こうやって一度は起こされる彼と隣になってから恒例イベントになってしまった。
「私の事気にしないで勉強しなよ」
「そういう訳には…!」
「なんで君が必死なの?」
私が聞くと彼は少しだけ頬を赤らめた。
私は何故そこでそうなるのか分からなくて困惑する。
「だって」
「だって?」
「君が補習になったら、一緒に出かけたいのに誘えないじゃん」
彼は今にも消え入りそうな声で呟いた。
その言葉は私の耳にしっかり届いていた。
私は体を起こしてシャーペンを握る。
君のせいで目が覚めてしまった五限を乗り切るために。
眠気はすぐに吹っ飛んだ 赤猫 @akaneko3779
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