呪いの手紙
雪野蜜柑
呪いの手紙
『拝啓
改めてこんな風に手紙を書くのは初めてだから緊張するね。もう出会ってから何年だろう。結構長いこと一緒にいた気がします。あの日、いじめられて一人だった私にあなたが声をかけてくれた。それが私にとってどれだけ救いだったか、あなたは知らないでしょう。あなたは私の世界を変えてくれた。本当に感謝してる。あなただけが救いだった。
でもね、それは違った。私はあなたのそばにいちゃいけない。もうあなたの隣にはいられない。こんな醜い感情をあなたにぶつけることはできない。だから、最後に手紙を書いた。あなたは私がいなくても幸せになれるでしょう?これは呪い。私が最後にあなたにかける呪い。どうか、私をずっと忘れないで。
私にとってはあなただけが全てだった。あなたが好きだった。でもそれは許されることじゃないって知ってた。決して報われない想いだって。でも、あなたが私以外と幸せな顔をしているのをみるのはもう限界だった。ごめんね。醜い私を許して。私にとってはあなたが全てだった。
大好きだった。最期まで。』
泣きながらこの手紙を書いたのだろう。所々滲む文字を眺める。あなたが最期に私にかけた呪い。でも、それは受け取れない。あなたの呪いを受けて生きることはできない。だって、
「私にとっても、あなたは全てだったよ。」
少女は、抱き寄せられるように、空へと歩みを進めた。
『……速報です。女子高生が二人立て続けに自殺した件について、学校側は「いじめの証拠はない」などと話しております。現在調査が進められ……。』
呪いの手紙 雪野蜜柑 @yuki_mikan
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