砂漠になったよ、この星は
ひとり遊び
第1話 宇宙船、墜落
スタンプ星の少女メロンは、小型宇宙船で旅をしていた。
真っ暗な宇宙空間を、たった1人で、もう2年も移動している。
メロンは、まだ学校にも通っていないほどの子供である。
賢い子であったが、まだ幼い。
このような幼い子供が旅をすることができるのは、自動操縦システムのおかげだった。
宇宙船の舵取りは全てコンピュータがやってくれているので、メロン自身は特にやることはない。
さらに、かなり巨大かつ、野菜であっても5年は腐らせない冷蔵庫室に、大量の食物を入れているので食うにも困らない。
台所や、シャワールームもあって充分な広さの船内で、メロンは食べては寝ての生活をしていた。
リビングには、小さな窓があった。そこから見える星の海を見ることが、メロンは好きだった。しかしはじめは綺麗だった景色も、変わり映えせず、もう見慣れすぎた。
「あー、退屈だー」
こんな怠惰な生活がずっと続くと、それはそれで飽きてしまう。
途中で、気晴らしに小さな星々に停泊することはあったが、どこも荒廃して、文明の崩壊した星ばかりだった。そんな星には、住民もほとんどいないし、何よりもメロンに辛い記憶を思い出させる。
「早く着かないかなぁ、アールグレイ星」
そんな彼女には、目的地があった。
伝説の星、アールグレイ星。
宇宙で最も偉大な神々の住む惑星、と謳われ、真の平和へと至ったとされる唯一の星である。
メロンはある理由で、そこにいく必要があった。
アールグレイ星までは、長い宇宙旅行の末、到着まであと1カ月ほどの距離まで迫っていた。
メロンは楽しみで、仕方がなかった。
「あと1カ月………。もうすぐで、私の旅が終わる。お母さん、お父さん、待ってて」
しかし、そうそう旅は順調にいかないものであった。メロンが、テレビを見ながら王茶ラテを飲んでいる時だった。突然、ブォーンブォーンと、船内に警告アラームが鳴り響く。
『緊急事態発生! 緊急事態発生! 原因不明のエンジントラブルにより、宇宙船の動力が完全に停止しました!』
へ? とメロンはあっけに取られる。何が起こっているのか把握できず、リビングをおどおど歩き回る。マグカップに入っていた王茶ラテを、テーブルにこぼしてしまう。
『エンジン停止のため、航海の続行は不可能と判定! 直ちに不時着モードに移行します!』
宇宙船は急速に速度を落とす。そして、近くにあった惑星の重量に引かれて、落ちていく。
2年ものダラけきった生活は、この瞬間終わった。
そしてメロンの旅は、ここからが本番だった。
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