嫁を抱いて、子作りするため旅にでる

@Yoakira

第1話


 俺には息子がいない。


――俺は別に不幸だったとは思わない。


 そりゃあ、ガキの頃はそのことで虐められたり怖がられたりしたけど、今となっては微塵も思わない。むしろー…。


――幸せだった、と思う。


 誰よりも。

 努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して努力して。


 他人よりも何十倍も努力して。

 どんなに辛く汗水を滝のように流すメニューでも。


 筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして筋トレして。


 体を支え、腕で誰よりも速く走れるくらいまで鍛えあげた。


 俺には下半身がない。


 そう。俺、世一よいち19歳は顔だけは普通のパラリンピック100m走連続王者である。

 そして今年も金メダルを噛むはずで、表彰台に登ったはずなのだが。


――どこだここは。


 本来なら競技場のトラックと観客席が視野に広がるはずが、永遠と広がる白の空間。そして、俺が表彰台に登ろうと手が触れた瞬間に現れた紫色の魔法陣らしきものが体の真下にあった。


「何でー…というか。魔法陣ちっさ」

「誰が小さいじゃぼけぇええ」


 人の声というか、女の子の怒鳴った声が聞こえて首を動かしあたりを見渡す。すると、すぐ背後に人が立っていたことに気づき内心驚いた。

 俺はそのまま体の向きを変えて、中でも身長が高いであろう女性をまじまじと見上げる。

 鼻が少し高く美人で、銀髪ロングにところどころ装飾されたミニスカートワンピ。

 全体的に、うん。白のレースっぽい感じで色々とびっくりだな。わぁ〜…お。


「初めまして世一さん」


 口を開いた女性の声は、さっき聞こえてきた声とは違って大人っぽく凛としていた。


「私は神でー…す……? どうしましたか世一さん?………………キャアッ」


 もしかして、という風にスカートを抑えながら顔を真っ赤に涙目になる神と名乗った女。

 はい。そのもしかしなくともですよ。神さん。

 白、一部レース。ご馳走さんです。


「あの、見ましたか?」

「気をつけて。俺に見られたくなかったらロングスカートにしたほうがいいよ」

「そう……ですよね。ごめんなさい」


 この体の特権、感がいい女はこんな風にすぐにバレるが殴られない事の方が多い。そして、気づかれずにまじまじとみつづけることも出来るということ。ついでに下から見る太もも、エロくて最高! である。


「んで、あんた神だっけ? ここはどこなわけ? とりあえず、元の世界に帰りたいんだけど」


 神の目が点になるのをみて、俺も点になる。


「もしかしてー…帰れないのか?」


 口が少し引きつるのが自分でもわかった。


「へ? 帰れませんよ? 一方通行ですし。でもこれは世一さんにとって喜ぶべきことですよ!」


 満面の笑みで神が両手を広げ歓迎のポーズを取った。


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