逆行先が(元)婚約者の中ってどういうことですか? 婚約破棄されたのに『体の中』で同棲することになりました
風凪/ビーズログ文庫
プロローグ
「すみません、アリーシャ。あなたとの
王都ラーナクアにあるメイベル家のタウンハウスで、わたくしは婚約者だったジル様……ジルベルト・バートル様に婚約破棄を
最初、何を言われたのか理解できなかった。パチパチとまばたきを
(婚約破棄……? 今、婚約破棄って言いました!?)
何かの
くらりと
お母様と使用人に支えられながら部屋を出ようとしたわたくしは、どうしても
「あの……ジル様、どうして……?」
やっとのことで婚約破棄の理由を
その後、両親に婚約破棄の理由を尋ねても「あんな最低な男のことは忘れなさい」と
もともとわたくしとジル様の婚約は家同士が決めた政略的なもので、そこにお
貴族の
だから、わたくし
ジル様は整った顔立ちをしていて女性にもとても人気のある方だったので、彼の隣に並んでも
つい先日に学園も無事卒業できて、半年後には
ジル様はわたくしではなく、コーデリア様を選んだのだから。
いつからわたくしは裏切られていたのかしら。
思えば、ジル様はわたくしとあまり目も合わせてくださらなかったし、
結局のところ、ジル様にとってわたくしはただの政略結婚の相手でしかなかったわけだ。
学園で過ごしたジル様との思い出が
初めて会った日のこと、婚約を申し込まれた日のこと、初めて一緒にお出かけした日のこと、全部覚えているくらい、いつの間にかジル様のことが好きになっていた。
でも、好きになったのはわたくしだけで、彼はわたくしのことなんてなんとも思っていなかった。そう思ったら、
裏切られたことが、そしてそれを
思った以上にショックを受けていたわたくしは、両親に連れられて王都から領地に
*****
婚約破棄されて一年ぶりの夜会。
ショックで
弟にエスコートされて大広間に移動したわたくしは、
わたくしの元婚約者だったジル様とその婚約者……いえ、もうご結婚されていたのでした。彼の奥様のコーデリア様。
黒のフロックコートに身を包んだジル様は、一年前にお会いした時より大人っぽく見えた。その隣に並ぶコーデリア様も
本来ならあそこに立っていたのはわたくしだったはずなのに――そう思ったらズキンと胸が痛んだ。
一年
あちらに気づかれる前に場所を移動しようとした時、ジル様と目が合ったような気がした。けれどそれも
窓ガラスに映りこんだ自分の姿に目を向ける。
広いようで
次の瞬間、ドンッと体に
「あなたさえいなければ……!」
よろけた足が階段を
しまったと思った時には、わたくしの体は階段の最上部から投げ出されていた。
キラキラと光るシャンデリア、細やかな
完全に不意打ちだった。受け身を取る間もなく後頭部を打ちつけ、階段を転がり落ちたわたくしの体は、階段の一番下まで転がってようやく止まった。
起き上がろうとしても体に力が入らない。周囲の
きっと打ち所が悪かったのだろう。
どうやら死ぬ
学園を卒業したら親が決めた人と結婚して、それなりに幸せな家庭を築けたらいいと思っていた。それなのに、婚約破棄されたあげく、階段から
(どうしてこんなことになってしまったの? どこで
考えても答えは出てくるはずもなく、こみ上げた涙で視界が
(ああ、だめ……もう考えがまとまらない)
何もかもが遠くに聞こえる。ゆっくりと目を閉じて意識を手放そうとした瞬間、遠くで
そうして、わたくしアリーシャ・メイベルは十八歳で
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