第3話 体育祭から始まる僕の春2

「第5レースを開始します。『用意、パン』スタートしました」


僕は1番最初に課題を引く。課題に書かれていたのは。

「最悪だ」


これを作った人は永遠の病気、黒の悪魔にかかってるに違いない。高校生になって借り物のお題が『エターナルライバル(お姫様だっこで)』とか黒の悪魔にとりつかれない限り書かないだろう。しかもついている条件も最悪すぎる。もし同性になったときはどうする予定だったのだろうか。まあ僕は関係ないが。僕は何も考えず自分のクラスのテントに向かう。僕が借り物に選ぶのはもちろん…。


「かなで、借り物になってくれないか」

もちろんみなとかなでだ。かなでとはもう10年の仲だ。この10年間かなでには何度も悔しいをさせられてきた。今日少し恥ずかしい思いをさせても文句はないだろう。

「りゅうま〜もちろんいいよ」

機嫌よくOKしてくれた。最近僕だけには甘い気がするがまあいっか。

「じゃあ失礼する」

そう言って僕はかなでのことを抱き上げる。クラスの女子から感嘆の声が聞こえたが無視を決め込む。

「りゅうま〜どういうこと」

かなでも困惑気味だ。でも満更でもない感じで頬が少し赤らんでいるように見える。それにしてもかなでは軽かった。僕だけが知っていることだがかなではかなり緊張する方だ。そのためタイトル戦の日の3日前ぐらいから食欲がなくなるらしい。しかもタイトル戦と奨励会の例会の週と被ったときは1週間食欲がなくなるらしい。彼女いわく食欲がないときも少しは食べているらしいのだが…。それに彼女の香りがふわりと鼻孔をくすぐる。僕の好きな甘酸っぱい柑橘系の香りだった。


このレースは僕が1位を取ることができた。他の人の課題もかなりクセのある課題だったのだろう。中には顔を赤らめて動いていない人もいる。もしかしたら『気になっている人』というお題引いたな。ご愁傷様です。僕はプライドを捨てたことが勝因だと思う。ときにプライドを捨てることもいいなと思った。


…………

題名の半分の伏線を回収しました。次回はかなでサイドを書く予定です。もし続きが気になる方は作品のフォロー・♥・★お願いします。(この話は追記するかも)

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