序盤から登場人物は多いのですが、これは『言霊師』と呼ばれる『言葉』を武器としてモノノケと戦う一族“たち”の物語となっています。読んでいくうちに、かみよもワールドに引き込まれていきます。登場人物の多さは独自の世界観と雰囲気の原動力となっているので、まずは読んでみてください。
五行家のうちの一つ、手奈土家の唄羽ちゃんを主軸として彼女の戦いと成長とを三人称で描いていくパートと、双子の片割れが犠牲となってしまった一般男子高校生の太樹くんが五行家や同級生たちとの関わりの中で強くなっていく一人称のパートとがあります。
唄羽ちゃんでないと見えてこないもの、太樹が太樹として動いていく中でわかってくること、ふたつの視点で物語が進んでいき、読者としても解像度が上がっていきます。読み終える頃には「よかった……!」と思える大団円なのでオススメです。
個人的には、一見して世界観の解説回でありながら恋天使ちゃんと唄羽ちゃんの精神的な距離を縮める意図もあった『参考資料』のパートが上手いな〜と思っています。仲良しの女の子、尊いですね。
モノノケは都市伝説をモデルにしているようなので、そちらに詳しい方にも推奨します。