日常の裏側

@aotargz

第1話

会社帰りに通勤バスに乗りこむと、妙な臭いがする。

ドブのような生ごみが腐ったような何ともいえない臭い。


さて、この通勤バスの中、別な路線を走った時か前日にでも粗相した人がいたのだろうか?

さすがにそういう事案があったのならバス会社も掃除しているはずで、臭いが残ったままだというのは考えにくい。そもそも、粗相で残る臭いともちょっと違う。

バスが走り始めると次第に臭いは薄らいでいき、外気が入って換気されたんだろうなと、その日はそのまま忘れてしまった。


数日後、同じように会社帰りに通勤バスに乗ると、また同じ妙な臭いがする。

ふむ、そういうモノがいると臭いがするような怪談があったな、バス内は結構な混み具合だし、そんなのが本当に同乗しているのなら見えてなくとも接触してる人は不調を訴えそうなもんだ。

またバスが走り出すと臭いはいつの間にか消えてしまった。


別な日に通勤バスの路線でいつもは乗らない区間で乗ってみた時に同じ匂いがする。

ふむ、そんなことがあるなら今まで眉唾だと思っていた非科学的な話も実体験として信じられるかもしらん、そう思いながらバスが発車するとその匂いはいつものようにすっと消えてしまった。


また別な日にいつもは乗らない区間のバス停でバスを待っているとバスの中ではないのにその匂いがする。

ほう?道端の側溝からだろうか?側溝を覗き込むと側溝を塞いだ格子越しに乾いた底が見える。粗相らしきものもないな。

ここからではなさそうだし。このバス停でいままでそんな臭いがしたこともない。


めんどくさいので、この匂いを追求するのは止めた。もう臭わない。


臭うと、匂うという語もなぜかテキトーに辞書が候補として出してくるので、この話では混在してるくらいがヨイような気がしている。





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