初恋の私よ、俺よ、永遠なれ

牛寺光

最高に可愛い私へ  初恋を込めて

 恥ずかしながら高校2年生になるまで『』というものをしたことがなかった。

 何か特別な事情があったわけではない。

 ただ誰かを好きになるよりも友達と遊んでいる方が楽しかったってだけ。

 でも今は違う。


 その人は隣のクラスの男の子。

 去年、同じクラスだった彼とは男の中では一番仲が良かった。せめて私にとっては。

 仲良しグループで購買に行くときには大体隣を歩いていた。

 女友達との遊ぶ約束をドタキャンされた時に二人きっりで遊んだりもした。

 そんな彼のことを今更になって意識し始めてしまった。



 そんな彼と今日は電話の約束をしている。

 電話で伝わるのは音声だけなのに普段、お風呂上りに着ているジャージから着替えて、部屋着と言うには気合の入りすぎたワンピースを着て、かるーくお化粧もして準備を整える。

 この気合の入った準備なんてなんも意味をなさないことを知っている。

 けれどもやらずにはいられない。


 そして電話をする約束の時間になって電話がかかってくる。

「もしもし?!」

「もしもし」

 自分でも思っていた以上に食い気味な『もしもし』。

 引かれてしまったかもしれない。

 そんな不安がつのる。

「夜なのにめっちゃ元気じゃん」

 電話越しに彼のケラケラと笑っている声が聞こえる。

 そんな反応を聞いてほっと肩を落とす。

「でしょ。しきくんは元気ないね?」

 緊張しすぎて普段通りのテンションで入れている自信がない。

「あー、やっぱり……緊、学校でいろいろあって疲れちゃってね……」

 そんな識くんとの会話は静かに、時々話題が途切れたりしながら進んでいく。


「ふぁー。明日も学校だしそろそろ寝る?」

 あくびが漏れて、時計を見ると1時を回ったところ。

 楽しくて、つい話過ぎてしまった。

「そうだね……。寝ようか。じゃあおやすみ」

「うん。おやすみ」

 そんな話をしてから私はいつもの寝巻に着替えて、お化粧を手早く落としてから眠りにつく。

 暗いベットの中で携帯の通話履歴を一目でか見てから。


 朝起きる目覚めもすっきりとしていて最高だった。

 起きてから朝ごはんの食パンにいちごジャムを塗ってをのんびりと食べる。

 それが終わったら洗い物をお母さんに任せて、制服を着て姿鏡の前に立つ。

 クルリと鏡の前で一周まわってみて不自然なところがないことを確認して薄っすらとお化粧を施し、背伸びしてちょっといい香水を少しだけつけて靴を履いて出発する。

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