プロローグ


「君、随分と若いなぁ」


暖かい何かに包まれているような感覚の中で、私はその声を聞いたのだった。若い、男の人の声。どこか懐かしさを感じるような、そんな声。


「まだ15歳やったんやろ?勿体ないなぁ」


もったい、ない……?

この人は、何のことを言っているの?


「最近は若い子がここに来ることが多くて悲しいわ。時代のせいにもしてられんな」


その言葉と同時に、私は掬いあげられるような状態になり、今まで見えてこなかった男の人の顔が見えてくる。


「ごめんな、助けてあげられんくて。代わりと言っちゃなんやけど、一つだけ。君の願いを叶えたる」


願い……?


「なんでもええで〜!前におったんは、億万長者にしてくれとか、アイドルと結婚したいとか……死んでるから、全部無理やけどな!」


あぁ、私やっぱり死んだんだ。


「あら、驚かんのや」


そんな気はしてたもの。それに、願いって言っても私はもう叶ってるから。


「あちゃ〜、死ぬ事が一番の願いなんは初めてのケースや……せや、ちょうど今、人手が足りへんねん。良かったら、僕の『仕事』、手伝ってみぃひん?」


仕事?


「難しいことはなんもない!手取り足取り教えたる!」


それなら、まぁ……


「よっしゃ!じゃあ、君は特例や。ようこそ、新しい魂さん……!」







その言葉を最後に、私の記憶は途絶えた。




いや、生まれ変わったと言うべきか。

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