ヤリモク聖女と女神どんの込み入った事情
広田こお
第1話 聖女を辞めます
魔王が現れたと言う報が、わたしこと、聖女の耳に届きました。
聖院の長は私に、ながーーーい、良くわからない話をしたあと、
「聖女よ、魔王が現れたという報がある。あなたが勇者パーティーを結成するのだ」
と言いました。
「じゃ、聖女辞めますわ……」
「あなたね……、あなた今まで国の税金を使って、のべんくだりとしたニート生活してたでしょ……」
「はい、そうですわ」
「堂々といわないでください!!あなたは、聖女の役目を果たすべき人間なのです!」
「辞表提出しますわ」
「あ……、イイですよ?聖女のみが、様々な公費を使う権限がございますので……」
聖院の長はニヤリと笑うと。
「いままでの生活費、あなたが負担することになりますよ?」
「は?なんで?」
「だって、聖女やめるんでしょ?」
「はい、やめますわ」
「じゃ、コレ払ってください」
「私……無一文なんで……」
「……払えないなら聖女つづけるしかないですよ」
聖女でいるってすばらしい!
そう思っていたのはその役目を具体的に知るまでの間だけでした……。
聖女の役割とは、魔王が台頭したとき勇者パーティーを結成する立役者になること。
勇者を見つけ、賢者を見つけ、頼りになるその他どうでもいい人間も適当にみつくろい、そして、魔王を倒すために必要な「あらゆる」ものを集めること。
あらゆるもの……ねぇ。
正直面倒ごとを人に押しつけるにしても、雑すぎねーか?
面倒なのはわかるが。
これは……、どうしようもない!くそ、こんなことで私のニート生活が終わるなんて!
「魔王……許すまじ!絶対に殺す!!」
「そのイキです!」
こうして私、聖女アリア=セインは、生まれたとき預けられた聖院でのニート生活を泣く泣く終わらせ、魔王へのヘイトマックスで旅立ったのでした。
まずは始まりの街に行き、「最も狡猾な賢者」と会わねば……。
世間慣れしているという噂の最も狡猾な男であれば、あるいは、ニート生活を続けるすべを知っているかも知れないのだから。
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