第三死合!悪役令嬢VS虐待の乳母!!
第5話 それは乙女ゲームの乳母【対戦予告】
―――≪OPナレーション≫―――
『もしよろしければ皆様方に格闘少女
果たしてカレリンはこの窮地を乗り切ることができるのか?
それではみなさん、令嬢類最強!にレディィィゴォー』
――――――――――――――――
私の名前はナニー・マァム。
元マァム子爵婦人である。
今は己の罪を畏れ出家し、一人の
この手記は私の犯した罪に対する
私の罪――
それは今を遡ること20年、アレクサンドール侯爵に1人の女の子が生まれたところから始まった。
その女児の乳母として私に白羽の矢が立った。
マァム子爵はアレクサンドール侯爵派閥の貴族で何かと都合が良かったのだろう。
加えて、私もひと月前に女児を出産しており、私の娘を乳姉妹にするのにちょうどよいと考えたのかもしれない。
これはとても名誉ではあったのだが、不運にも私が乳母として屋敷へ上がる直前に私の娘は儚くなってしまった。
私は嘆き悲しんだ。
こんな状態ではとても乳母としてやってはいけない。
だが、夫はもう変更することはできないと私をそのままカレリン様の乳母として送り込んだのだ!
何が家の名誉だ!
ただ自分が愛人と2人になりたいだけのくせに!!
――(中略:子供を失った嘆き、夫の浮気への不満が延々と続く)――
……渋々ながら私は屋敷にあがった。
その時に初めて拝見したカレリン様のご尊顔は息を飲むほどの美しいものであった。
だが、それが却って良くなかったのだろう。私の胸の奥底から何か、とても黒い何かが噴き出すのを確かに感じた。
これはきっと、私のやり場のない悲しみ、苦しみ、怒りなのだろう。
私は我慢ならなかったのだ。
どうして私の子は死んだのか?
どうしてカレリン様は生きているのか?
どうして私は自分の子ではなくカレリン様を育てなければならないのか?
ああ、分かっている。
カレリン様が悪いのではないと……
だけど私の中の悪魔が私にカレリン様への無体を
私は泣き叫ぶカレリン様を放置した。
私は最低限の養育しか施さず、露呈を恐れて跡が残らないように抓り、叩き、暴力を振るった。
分かっている。
カレリン様が悪いのではない。
しかしその愛らしいお姿を見るたびに私の子ではない現実が私を
――(中略:虐待が続く)――
そして気が付けばカレリン様も10歳になられていた。
私の虐待の中でも幼女とは思えないほど美しく成長された。
しかし、私は虐待を止められず、まだ続けている……
カレリン様が成長された後も食事を抜いたり、
身だしなみなど手を抜いてお世話をしたり、
それが怪物を生むなど知る由もなく……
――(中略:虐待が続く)――
カレリン様は心を閉ざした。
慈悲の心を知らず、他者を虐げることしかしなくなった。
使用人たちもカレリン様の仕打ちを恐れるようになっている。
ああ、私はなんという怪物を生み出してしまったのか!
――(中略:虐待が続く)――
成長してくカレリン様は本当に美しく、まるで女神のようだ。
しかし、その逆に心はとても冷たく醜い。
彼女には人の心が分からない。人の痛みが分からない。人の苦しみが分からない。
その秀麗な外見とは真逆に内面は悪魔の様に残虐なのだ……
あれは人の形をした、人ならざるものだ!
――(中略:虐待が続く)――
次第にカレリン様は人が痛み、苦しみ、悶えるさまを喜ぶようになった。
あれは人の世に放ってはならないものだ!
――(中略:虐待が続く)――
魔法学園に入学し王都へと移り住んでいたカレリン様が処刑されたと聞かされた。
彼女は随分と人を虐げ、傷つけ、苦しめたようだ。
話に聞く惨虐非道な行いは確かに私の知る彼女のものだ。
しかし、そんな彼女を生み出したのは、彼女を怪物にし、世に放ったのは私の業だ。
私は犯した罪に恐れ
尼僧となった私は、カレリン様と彼女によって苦しめられた人々に許しを乞うため懺悔する日々を送っている。
私の過ちで苦しんだ全ての魂に平穏あれ――
『カレリン・アレクサンドールの乳母ナニー・マァムの述懐(『恋の魔法を教えます』設定集より抜粋)』
NOW,FIGHT A NEW RIVAL!
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